
↑これがサイズウェルB!現在稼働してるやつ!( ・Д・)
📰はじめに
――墳丘墓だけじゃない、サイズウェルC計画の正体
前回の記事では、
イギリス・サフォーク州で見つかった
「王侯級エリートの墳丘墓」について紹介した。
でも、あのニュースを追っていくと、
どうも違和感がある。
……これ、
「たまたま良い墓が見つかった」
って規模じゃないぞ?
調べてみると、
どうやらサイズウェルC計画そのものが、
考古学的にかなり異常なスケールらしい。
今回はその話。
🏗️ サイズウェルC計画は、どれくらいデカいのか
サイズウェルC計画は、
イギリス政府が進める国家級の原子力発電所建設プロジェクトだ。
場所は、すでに既存の原発(サイズウェルA・B)があるエリアの近く。
つまり「エネルギー拠点」としては昔から重要視されてきた土地だ。
そして、カッコいい名前の「サイズウェルC」とはそもそも三番目の原子力発電所ってことなのだ。
さて、発電所そのものだけでなく、
-
建設用地
-
アクセス道路
-
資材置き場
-
周辺インフラ
まで含めると、
とにかく範囲が広い。
この「範囲が広い」という一点だけで、
考古学的には嫌な予感しかしない。
なぜなら、
広く削る
=広く調べる
=今まで誰も触ってこなかった場所に手を入れる
ということだから。
⛏️ 事前調査が「普通の調査」で終わらなかった理由
サイズウェルC計画では、
当然のように事前考古学調査が行われた。
でも結果は、
「ちょっと記録して終わり」
では済まなかった。
次から次へと出てくる。
-
先史時代の活動痕跡
-
青銅器時代の遺構
-
鉄器時代から初期中世の墓域
-
中世の生活痕跡
しかも、それぞれが
点ではなく、面で出てくる。
これはつまり、
この土地が
「一時的に使われた場所」ではなく、
何千年も繰り返し使われてきた場所
だったということ。
🧭 なぜ、この場所は使われ続けたのか
サイズウェルC周辺の地形を見ていると、
だんだん理由が分かってくる。
-
海に近い
-
平坦で使いやすい
-
視界が開けている
-
内陸と海岸をつなぐ位置
要するに、
人間が好む条件が揃いすぎている。
だから、
-
先史時代の人も
-
中世の人も
-
近代の人も
みんな、同じ場所を選んだ。
時代ごとに用途は違うけど、
「ここは使える」という判断だけは、
ずっと一致している。
👑 墳丘墓は「異常」ではなく「結果」
前回の記事で紹介した
11基の墳丘墓と王侯級エリートの墓。
あれも、
この流れの中で見ると理解しやすい。
いきなり偉い人が現れたわけじゃない。
この土地が、
-
長く使われ
-
記憶され
-
特別視され
てきた結果として、
「ここに葬る」という選択がなされた。
墳丘墓は原因じゃなくて、
積み重なった重要性の結果だった。
🏛️ 現代の巨大計画が、過去を全部あぶり出す
皮肉な話だけど、
これほどの発掘成果が出たのは、
サイズウェルC計画が
あまりにも巨大だったからだ。
-
小規模開発なら調べなかった場所
-
農地のまま放置されていた場所
-
誰も掘らなかった地面
そこを、
国家規模の計画が一気に開いた。
その結果、
時間がまとめて露出した。
サイズウェルC計画は、
発電所建設であると同時に、
巨大な時間断面の露頭でもある。
🔮 「当たり続ける」のではなく「見えているだけ」
サイズウェルC計画が特別なのは、
歴史が多いからじゃない。
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調査範囲が広い
-
記録が丁寧
-
情報公開が比較的多い
つまり、
本来なら埋もれたままだった過去が、
たまたま見えているだけ
とも言える。
別の場所でも、
同じ規模で、同じ精度で掘れば、
似たことは起きるはずだ。
ただ、そこまでやる計画が
なかなか存在しないだけ。
――「サイズウェルC計画」は発電所以上のもの
前回は、
「王侯級エリートの墓」という
分かりやすい成果を紹介した。
でも本当に面白いのは、
その背景にある、
なぜ、ここで
これほど多くの歴史が出るのか
という問いだ。
サイズウェルC計画は、
エネルギーを生み出す施設を建てる計画であり、
同時に、
イングランド東部の時間を一気に可視化する装置
にもなっている。
掘れば必ず何か出る。
でも、
それを
「ただの遺構」で終わらせず、
「土地の履歴」として読めるかどうか。
そこが、プロの仕事なんだと思う。


































