2019ねん 5がつ 30にち(もくよーび、晴れ)
22連勤目、疲れが溜まってきたようだ。
あと15連勤ある……
しかし学生時代の強制参加の無給(むしろ大きくマイナス)の発掘調査(15連勤くらい?)を思うと、超余裕である。
社畜ならぬ、「学畜」とか「院畜」という言葉はないのだろうか?( ・Д・)
今を苦しむ学生・院生諸氏のために拡散してたもれ!
……「いんちく」か、「うんちく」くらいしか知らないな( ・´ー・`)ドヤぁ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
↑古墳築造のための石材運搬の様子(復元)、「木製のそり」を使用している(「エナガ先生の講義メモ」の記事内画像より一部加工)
今回の考古学・歴史ニュースは、「国内で2例目となる古墳時代の石材運搬に用いたと考えられる木製の大きな「そり」が見つかったよ!」というお話です(*・ω・)ノ
国内で2例目、東日本では初めての事例となり、希少な歴史的発見なのです。
というのも、この「そり」は木製ですからね、そもそもなかなか残らないのです。
また「そり」は石材運搬に用いたと考えられる「実用品」ですから、お墓に丁重に副葬された他の木製品とは異なり、使ってた人々の「残そうという意思が薄弱」です。
壊れたらその辺にポイっと捨てたかも知れませんし、バラして薪として使ったかもしれません。
後者の場合はほぼ後世に残りませんよね。
もしそうしていたなら、古墳時代の人々よ、見事なリサイクルである( -д-)ノ
さて、出土した遺跡は千葉県木更津市に所在する松面古墳(まつめんこふん)です。
帰属時期は7世紀前半です。
松面古墳は祇園・浜長須賀古墳群(ぎおん・ながすがこふんぐん)の一つで、一辺約45mの方墳であり、周濠(しゅうごう;古墳の周りにある濠(ほり)のこと)から今回の修羅の一部が出土しました。
上に挙げた写真のキャプション、あるいは記事タイトルにあったように、「そり状の巨石運搬具」を「修羅(しゅら)」と言います。
最初に挙げた復元図でも、あるいは恐らく皆さんが見慣れているであろう古代エジプトのピラミッド建築の復元予想でも、「コロ」の上に台を載せて、その上に石材を積んでみんなで押したり引っ張ったりしていると思います。
その「コロの上の台」が見つかったということです。
日本の古墳時代の例ではコロの上の台が「V字状のそりのような形態」を成しています。
修羅と呼ばれるようになったのは近世以降とされており、その語源は「運搬する大石をタイシャクと読み、それを帝釈天に引っ掛け、帝釈天を動かせるものは阿修羅すなわち修羅であるとの語呂合わせからきたものとされている(wikiより転載;一部筆者修正)」そうです。
上に挙げた画像から分かるように、今回見つかった修羅は長さ約140cmの破片であり、大きな修羅のほんの一部ということになります。
分析結果から使用された木材はムクノキであることが分かっています。
一部とはいえ、良く残ったなぁと思いますね(=゚ω゚)人(゚ω゚=)ぃょぅ!
↑しっかりと原型を留めていますね(「文化遺産オンライン」の紹介ページより画像を転載)
↑下にミニのそりが見えるカワ(・∀・)イイ!!(「藤井寺市HP」の修羅紹介ページの画像より転載)
↑サイズが大きいのがよく分かりますね(「組積石工技能」の記事内画像より転載)
さて、上に挙げた画像は国内で最初に見つかった修羅のものです。
1978年(昭和53年)に大阪府の藤井寺市に所在する三ツ塚古墳で発見されました。
こちらも周濠の底から出土しています。
この事例では大小2つの修羅が同時に出土しており、大型の修羅は全長8.8mに及びます。
先ほど紹介した松面古墳の事例ではおよそ三分の一が残存している状態で140cmでしたから、本来の全長はおよそ4.5mくらいと推定できます。
三ツ塚古墳の修羅はその2倍程度の大きさということになりますね。
まぁ個人的には小さい修羅の方が好きですけどねカワ(・∀・)イイ!!
この大型修羅は実は一本の木を丸彫りして作っています。
幹がちょうど二股に分かれた巨大なアカガシの樹を利用して作られているのです。
どの写真にも綺麗に加工された「孔」を見て取れます。
石材の固定の際に紐・縄を通すのに使用した孔であったり、あるいは前方部の孔は引っ張るための縄を通したものと考えられます。
注意して写真を見てみると、どれも綺麗な長方形に穿孔されていて、丁寧な加工が施されていること、そして素晴らしい保存状態であることが分かりますね(*・ω・)ノ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて、最後に挙げました写真のように、三ツ塚古墳にて出土した修羅は大阪府南河内郡河南町にある「近つ飛鳥博物館(ちかつあすかはくぶつかん)」にて展示されています。
非常に貴重な資料ですから、「国宝・重要文化財」に指定されています。
この博物館は陵墓・古墳に関する遺物を多く収蔵しており、古代の国際交流と国家の形成過程をテーマとしています。
興味ある方は是非足を運んで、直接その大きな修羅を目の当たりにしてみてください。
(例によって回し者ではありません、というか私も行きたい!( ・Д・))
スポンサードリンク
コメント
コメント一覧 (2)
ご教示頂きありがとうございます。そうなんですね。「ラボ畜」かぁ、理系研究室の方も相当大変だと聞き及んでおります(*_ _)ペコリ
ちなみに大学にもよるかも知れませんが、考古学でも室内作業をラボ作業と呼ぶこともあります。でも研究室は研究室ですね。