2019ねん 7がつ 20にち(どよーび、曇り)

特集の続きを書く時間持ててないな~ヽ(TдT)ノ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・



さて、今回の考古学・歴史ニュースは「うんちミュージアムだよ!( ・Д・)」です(*・ω・)ノ

とても端折りましたけど、今回の企画のテーマは「糞石について一緒に勉強しましょう!」ってことなのです。


うんちミュージアムの目的

私が専門とする地域は熱帯雨林に囲まれたような地域なので、大体の残りにくそうなものはやはり腐食して残りません。

微生物の活動が非常に活発で、土壌(腐植土)が発達しないくらいですからね。

あっという間に分解されてしまいます。

そんな環境でもでも稀に条件が重なると木材とか残ったりするものなのです。

また環境は地域によって多様です。

グアテマラ北部、ジャングルの中に所在するティカル遺跡では残存しないかもしれません。

でも、グアテマラ南部のマヤ高地は涼しい気候ですし、ホンジュラス西部のコパン遺跡は暑いけどけっこうカラッと乾燥した気候だと思います。

ということで、古代マヤ文明の地でも「うんち石」見つかるかも知れません( -д-)ノ

日本は人骨を含め、木材等の有機物が残りにくい酸性土壌で有名なのですが、日本では「うんち石」が確認されています。

また世界の他の地域、特にエジプトや北米・南米の乾燥地域では「うんち石」がよく検出されています。

我々も「うんち石」を発見できるかも知れませんし、できるに越したことありません。

なので「うんちミュージアム」で知識を蓄えましょう!ってことなのです。

これまで考古学、形質人類学では人骨からDNAを解析してきましたが、近年『糞石』からのDNA情報の方がより状態が良いらしく、実は解析成果が期待されている研究分野の一つなのですよ(・∀・)つ



知識と認識が発見を作る!

人間、不思議なもので、「ない!」って思ってるものを見つけることは非常に困難なのです。

また「存在を知らないもの」についても同様に、それを見つけることは困難なのです。

日本でも1949年以前は「日本は縄文時代から始まる」と考えられており、旧石器時代は認められていませんでした。

特に所謂「赤土」、火山灰が堆積した関東ローム層の年代は激しい噴火のため人間が生活できる自然環境ではなかったと考えられていたため、ローム層は無遺物層と考えられていたのです。

1949年以降に相沢忠洋、芹沢長介らの調査成果として「日本に旧石器時代があった」ことが認められ、その後、日本各地で旧石器が多数出土するようになります。

この話は日本考古学史としては ”常識的” な内容なのですが、『認識が遺物を発見させる事例』として重要な示唆に富んでいるなと私は思っています(*^・ェ・)ノ

まぁつまり私が言いたいことは、初めから「よーし、トイレの遺構を当てるぞ~!」って調査することはほとんどないと言って良いので、「それらしき遺構」に当たった際にしっかりと見極められるのか?が重要なのだということです。

時期、地域にもよるでしょうが、糞石はレアな遺物(依存体)ですし、トイレ文化や人々の食習慣などに迫れる重要な情報を有する遺物なのです。

なのでいざという時に見逃して掘り飛ばすことのないように、一調査者として十分に準備しておきたいものです(=゚ω゚)人(゚ω゚=)ぃょぅ!


arukemaya531


うんち石、もとい「糞石」とは何か?

まずは糞石の定義についてですが、
糞石(ふんせき)とは、動物や人間の排泄物である糞が化石化したもの。
(wikiより転載)
という内容です。

一言で述べるならば、糞石は「うんちの化石」なわけです。

糞石は英語では「コプロライト(coprolite)」と表現するのが一般的ですが、これは地質学・古生物学用語です。

なので恐竜とか動物の糞石に対して使われます。

考古学用語としては「パレオフィシス(pareofeces)」があり、これは人間の糞が対象です。

考古学の発掘調査では人糞が対象となることが多いでしょうが、家畜やペットの糞が出土することもあり得ますし、そもそも出土段階で何に由来する糞石なのかが不明なことが普通でしょう。

その場合は「フォシライズドフィシス(fossilized feces)」、つまり「化石化した排泄物」を用いるべきでしょう。

まぁでも日本語ではどの分野でも「糞石」で構わないと思います( -д-)ノ


arukemaya534


研究における糞石の重要性

かなり上の方で挙げた発掘現場の写真についてですが、2015年のテキサス州にある洞窟遺跡のものです。

古代人の糞石はこのような乾燥した気候の洞窟やその他の適切な保存条件の場所で見つかることがあります。

このテキサス南西部に位置するイーグル洞窟では120点以上もの糞石が見つかっており、炭素年代測定によって全資料の68%がBCE6810年であるという結果が出ました。

およそ9000年前のうんこですからね、すごいですね(・∀・)つ

これらの糞石は年代測定が可能なだけではなく、内部から発見される植物種子や小さい骨、寄生虫の卵の分析を通して、当時の人々の食生活や健康状態を知ることができます。

また糞石の脂質分析やDNA分析を使用して、糞石を排出した個人に関するより詳細な情報について化学分析することもできます。

分析に使用可能なDNA抽出の成功率は糞石の方が比較的高く、また糞石由来の分析の方が人骨に由来するDNA分析よりも信頼性が高いのです。

こうした詳細な分析が可能である理由は、消化器系を通過する際に全ての食べ物等が破壊されるわけではないからです。

もちろん消化されずに残った資料のすべてが分析段階で認識できるわけではありませんが、少なくともその一部は認識できます。

一般的な考古学資料から古代の食生活の復原に臨むのはかなり困難であり、少なくとも他のいずれの資料も直接的な指標にはならないのです。

そのためこの糞石という資料は考古学者が古代の食生活を決定するために使用できる最良の指標となるのです。

(つづく⇒「糞石に関する考古学研究史と分析内容&研究の実例の紹介&うんち石ミュージアム」)

糞石に関する考古学研究史と分析内容

考古学史における理化学的研究が一挙に盛んになったのが1960年代の「プロセス考古学」の時代です。

考古学における糞石を考古学資料として扱い、分析・研究した歴史もこの時期に始まるため、比較的短い研究の歴史を持っていることになります。

この糞石研究の創設者はエリック・カレン(Eric O. Callen)博士で、1950年代後半から1960年代半ばにかけて行われました。

彼の初期の論文は古代メキシコの食生活を調査することを目的に糞石研究を行っていましたが、当時の考古学研究者を始め関連諸科学研究者に注目されることなく、1970年、「プロセス考古学」の衰退と「ポストプロセス考古学」の台頭開始期に亡くなってしまいます。

それ以降、カレンの研究はテキサス大学人類学科のボーゲン・ブライアン(Vaughn Bryant)によって引き継がれ、今日においては科学技術の進展に支えられ急速に発展する分野となり、古代の人間の健康と食事の進化に関する重要な証拠を提供しています。

糞石の主な出土環境が乾燥した洞窟ということもあり、アメリカの乾燥地域を中心として南米の一部、エジプトで多くの研究がなされています。

糞石の分析では低倍率顕微鏡による観察から分子サイズの観察まで、多種多様な方法が用いられています。

基本的にはサイズと形態の分析によって、糞石が人間である可能性があるのか​​、それとも他の動物からのものであるのかについての情報を提供することができます。

また糞石の内容物には種子および他の植物の残骸のような肉眼で見えるもの 、花粉などの顕微鏡で見ることができるものがあります。

糞石から検出される寄生虫からは、古代の人々の生活状況や健康状態に関する情報を得ることができます。

分子レベルの分析として古代のDNA分析は種の特定と食事情報の提供の両方に利用できます。

特に脂質分析を使用する方法は、糞便ステロールと胆汁酸の範囲に基づく種の同定にも使用できます。

これらの分子は腸の生化学に従って種間で異なるため、糞石の主が人間か他の動物であるかを区別することができます。




研究の実例の紹介

テキサス州のハインズ洞窟(Hinds Cave)の例では2000年前の糞石を試料として得ることができました(下部の写真群にハインズ洞窟の糞石が含まれます)。

研究者らはDNA分析を行うことにより、現在のネイティブアメリカンとのミトコンドリアDNAの類似性に基づいて、3人のネイティブアメリカンに糞石が帰属することを突き止めました。

また観察できる残骸はなかったもののDNA分析から彼らが食べた食べ物としてクロウメモドキ、ドングリ、オコティロ、ナイトシェード、野生のタバコを挙げることができました。

一方で動物種のDNA配列としてはオオツノヒツジやプロングホーンアンテロープも確認されました。

この2種の動物に関する考古学的証拠はハインズ洞窟では発見されていないため、ハインズ洞窟の外の他の場所で獲物として仕留め、消費されたことを示していると推測しました。

この研究の以前は、ネイティブアメリカンの集団は主要な栄養源である果実で生存していたと考えられていました。

しかしこの研究結果から、以前の仮定は正しくないと判断され、糞石に含まれる約2日間の食物には、2〜4の動物種と4〜8の植物種が含まれていたことから十分な栄養的多様性が指摘されたのです(*・ω・)ノ


うんち石ミュージアム!

ということで、長らくお待たせしました。

うんち石ミュージアム開催です!

これから先、世界の糞石についてどんどん紹介していきたいと思います。

是非、「あ~糞石ってこんな感じか~」と、もし自分が「変わった石状の物」を見つけた時に同定できるように、特徴を捉えて欲しいなと思います(*・ω・)ノ

arukemaya536
↑1500年前のプエルトリコの糞石だそうです、やはりメソアメリカでも出るね!(*^・ェ・)ノ(「Internacional Business Times」)




arukemaya538
↑うんちはどこ???Σ(・ω・ノ)ノ上の写真の右下の資料のような潰れているタイプの糞石の出土状況、分かりにくいね!( -д-)ノ(「Ancient Southwest Texas Project – Texas State University」の紹介ページ画像より転載;credit: ASWT)

arukemaya539
arukemaya540

arukemaya548
↑テキサス州、ハインズ洞窟出土の2000年前の糞石(「Reseach Gate」の論文画像より転載;Poinar, N. Hendrick et al. 2001: Fig.1より転載)




arukemaya553

arukemaya554
arukemaya555


arukemaya535
↑これで糞石を発見する練習ができるじゃないか!?( ・Д・)(「Medayfult」の商品画像より転載;*楽天ショップのページに飛びますのでご注意を。いつもながら回し者じゃないです( -д-)ノ)


おわりに

たくさん糞石の写真を見たので、これで実際に現場で糞石を見つけたら即座に掘り飛ばさずに検討することができそうですね(=゚ω゚)人(゚ω゚=)ぃょぅ!

好条件が重なると残存するわけですから、調査以外でも皆さんも山とか登った時に発見できるかも知れませんね。

是非、近づいてツンツンしてみたり、割って中身を観察してみたりすると確認できると思います。

(比較的新しい、あるいは真新しいものの可能性が高いので、臭い時はやめましょう。熊などの野生動物のものの可能性もあるので危険です( ・Д・))

石とは名前が付いていますがもちろん脆いので発掘の際は注意が必要です。

千葉県、市原市の西広貝塚の事例では26点中の4点のみが調査中に発見され、大部分は水洗選別中に発見されたそうです。

簡単に割れるでしょうし、断面等で内部に未消化の種子や小骨等が見つかれば同定できそうですね。

とは言え、やはり掘り上げ土の古い掛け、水洗選別は必要ですね!

そして元々がうんちだから軽いんでしょうね、きっと!( ・Д・)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さて、最後に「糞石に関する誰得な豆知識」を2つ紹介します。


①うんちが保存される理由に関して

排泄物を保存するプロセスはメイラード反応と呼ばれます。

この反応は、ご飯のおこげとか、肉や玉ねぎを焼いた時の褐色変化の例として身近なものです。

このメイラード反応は還元糖とアミノ化合物が過熱や時間経過によって褐色物質を生成する反応なのですが、抗酸化性成分も生成するのです。

糞石も同じメカニズムで保存されます( ・Д・)


②うんち石の分析前に研究者がやること

糞石はそのままでは分析できません。

糞石に含まれる情報を抽出して分析するために、研究者は一般的に分析のために糞を凍らせてからそれを粉末状に粉砕する必要があります。

所謂「フリーズドライ製法」ですね( ・Д・)

↓これで「トイレの考古学」ができるね!(=゚ω゚)人(゚ω゚=)ぃょぅ!↓
スポンサードリンク