2020ねん 11がつ 13にち(きんよーび、晴れ)
さ、寒いよ、パトラッシュ( ・Д・)
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↑イッヌが遠い目をしている(*^・ェ・)ノ(「10MTV」の記事内画像より転載)
今回の考古学・歴史ニュースは「狩猟採集社会において、男は狩り、女は採集っていう通説が崩れる!?( ・Д・)」ってお話です(*・ω・)ノ
さて、アメリカを代表としてフェミニストが世間を騒がせる世の中になっておりますが、まぁヴィーガンとか捕鯨反対運動とか、所謂「欧米社会」では自分たちの意見を押し通すべくゴリゴリの活動を行う傾向が強いのかな~って個人的には思ってます。
日本を始め、アジア社会や中南米でそういったものを聞きませんからね。
もちろん、日本からすると過度だなと思えるような単発的なデモはありますけどね。
ちなみに考古学者でもフェミニストはいるんですよってお話を最後にしようかなと思います( -д-)ノ
さて、話を戻しまして、今回の話題は『これまでの通説がひっくり返るかも?』ってお話ですが、ニュースとして話題性はあるものの、実際、考古学的にはけっこう難しい問題だよって内容です(*・ω・)ノ
↑女性ハンターの想像図(「NACIONAL GEOGRAPHIC」の記事内画像より転載;credit: MATTHEW VERDOLIVO, UC DAVIS IET ACADEMIC TECHNOLOGY SERVICES)
このニュースの元記事は上の画像のリンクに挙げたように「ナショナルジオグラフィック」です。
ペルーのアンデス山脈で発掘された約9000年前の墓域から成人のものと思われる骨に共伴して、多種多様な狩猟用の石器が出土しました。
その後の分析によって石器と共に見つかった人骨は女性のものであることが分かりました。
この結果を受けて、アメリカ大陸全域で発掘された同時代の墓の調査結果も見直したところ大型動物ハンターの30~50%が女性だった可能性が明らかとなったそうです。
*ニュースとしての記事はここまでです。この後、一気に難しくなります。「おわりに」まで飛ぶことをお勧めします( ・Д・)
今回の発見は、普通に考えると新しい事例が見つかったということで大発見と言えるのですが、何が問題かというと現代におけるジェンダー問題に結びつく点です。
考古学は歴史の中でも古い部分(先史時代)を得意としているため、それぞれの集団のルーツに関わることも多いのです。
第二次世界大戦の事例が考古学において最も有名なものですが、グスタフ・コッシナの研究成果をナチス・ドイツが利用し、「『本来の』ゲルマン民族の領地を奪還する」ことを大義名分として戦争に突入しました。
考古学や歴史学は現代社会の役に立たないなんて思われがちかも知れませんが、実際に為政者等によって都合よく利用される事例は古今東西、後を絶ちません。
そういう意味で、考古学はなかなかに発言が難しい部分もあるのです( -д-)ノ
考古学者がニュートラルに発言しているつもりでも、受け手に都合よく曲解してしまわれますし、そういった曲解をした人々を扇動することで甘い蜜を吸う考古学者(所謂、お抱え考古学者)もいるのが実態です( ・Д・)
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さて、今回の話に戻りますと、私たちのイメージでは「男は狩猟、女は採集」ですよね?
男性の方が体格もいいし、オスが狩りを行う動物も多いわけです。
もちろん逆もあるのですが……
私たち人類を含む哺乳類は比較的子供の数が少なく、育児に手間がかかります。
特に類人猿になると子供の数は圧倒的に減少し、その分大事に育て上げるわけです。
魚類等と比べれば一目瞭然ですが、私たちは「数の勝負」、つまり数打ちゃ当たる戦法をやめたわけです。
そのため増大した育児という役割を担ったのが女性(哺乳類ですから哺乳させる必要もあります)であり、より危険の少ない採集活動も行っていたと考えられてきました。
だから「こうした役割分担はそもそも生物学的・肉体的特徴に基づくもので、本来人間にはジェンダー(社会的性差)があるのだ」という論理がまかり通っていました。
更にはこうした事例が、特に1960年代以降の人類学研究・文化人類学研究によって精力的になされた世界中の現存する狩猟採集社会の観察によって裏付けられたため、「定説」となっていました。
1960年代以降、考古学においては「プロセス考古学」が主流となっており、人類史あるいは人類の活動に対する法則定立的研究が求められていました。
1970年代以降の「ポストプロセス考古学」の台頭により、個別記述主義とそれに基づく「多様性の受容」が求められ、これは現在の考古学にも色濃く残っていると私は考えています。
で、あれば、現在では「女性が狩りに出るというパターンを多様性として認めて良いのでは?」となりますが、これまでの『定説』の反例となる発見がなかったのです。
今回の発見がまさにその反例になるのです。
そのため「ニュートラルな立場では」大発見ですし、人類活動における新たな多様性が発見されたことになります。
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ここで問題になるのが特定の考古学者の発言です。
9000年前に埋葬されたこの女性がハンターだったという見解に、アリゾナ州立大学のヒル氏は完全に納得しているわけではない。狩猟道具などの副葬品は、象徴的あるいは宗教的な意味で埋められたとも考えられると氏は指摘する。
新たに発見された石器は、埋葬された人物の所有物だったのだろうか? スターリング氏は、そうした疑問そのものに異議を唱える。「こうした副葬品が男性の遺骨とともに見つかったときには、こんな疑問が浮かぶことはありません」と氏は言う。「そんな疑問を抱くのは、男女の役割に関する通説にそぐわない場合だけです」
ゲラー氏も、「女性が狩猟道具とともに葬られている理由をひねり出そうとして、頭の体操をしている人はたくさんいます」と同意する。
NACIONAL GEOGRAPHICの記事より引用
「普通に」考えれば、これまでの定説とは異なる発見があったのだから、「どうしてこうのような出土状況になるのだろう?」と考察することは必要な過程です。
慎重な立場として、「儀礼的に副葬された可能性もある」と述べることも私は「普通」だと思います。
該当する遺跡や周辺の遺跡などでの追加調査によって根拠を増やして、慎重に結論を出すことは当然だと思うのですが、、、
「女性が狩猟道具とともに葬られている理由をひねり出そうとして、頭の体操をしている人はたくさんいます」
これは痛烈な批判ですよね。
逆に言えば、そんな必要はない、ただちに「女性が狩猟に参加していた」と結論付けよ!と言ってるわけです。
研究者としてはおかしな話に思えますが、それでもニュースはこういった内容を取り上げます。
そもそも多様性を認めるという立場ならば、南米において女性がハンターであったという事例が追加されるだけであって、定説が覆るわけではないのです。
でもこうしたフェミニスト的な考古学者は、結論を一気に普遍化し、女性と男性は対等だった、だから現在のジェンダーは不当という論理を導くのです。
そうなると考古学の問題は一気に現代社会との強い繋がりを有し、最悪の場合、歪んだ形で社会問題に利用されていくことになるのです( ・Д・)
おわりに
今回の発見自体はとても興味深いものです。
狩猟採集社会において、必要に応じて若い健康な女性が参加していたなんてことは感覚的に考えられることですし、その中でも優秀なハンターとして活躍した女性に狩猟用具が副葬されることも十分考えられることだと思います。
さて、、、
考古学は役立つよ!( ・Д・)
現代社会と関係あるんだよ!( ・Д・)
って宣伝してきたつもりですが、実際に考古学が社会に出ると「悪用」ばかりされてしまうのは何故でしょうか?
そして「真っ当な」考古学者は保身のために問題に触れないようにそっと口を閉ざすのです。
考古学のリアルな側面だね!( ・Д・)
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