2025ねん 10がつ 13にち(げつよーび、くもり)

トイレなんま近い!私の脳みそはノンアルビールに騙されている!( ・Д・)

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↑数理的なイメージ!?( ・Д・)



今回はJan Czekanowski の『Objective Kriterien in der Ethnologie』1911)の要約と解釈!( ・Д・)ってお話です(*・ω・)ノ

*最後にコメントがあるよ!(*^・ェ・)ノ



Jan Czekanowski の経歴的背景と方法論的立場

Jan Czekanowski(1882-1965)は、ポーランドの人類学者・統計学者・民族誌家・言語学者でもあり、「ポーランド人類学の学校(Lvov School)」の中心的人物であった。若い頃から数学や自然科学にも精通しており、Zurichなどで教育を受けている。


彼の業績の特徴としては、民族誌や人類の形質測定だけでなく、統計的手法(相関係数、記述統計、多重回帰など)を人類学に導入・普及させようとしたこと、および分類(taxonomy)・クラスタリング(種々の類似性/距離尺度を用いて個体や集団を比較・分類する)を明示的に方法論として用いた点である。


彼の主要著作の一つが Zarys metod statystycznych w zastosowaniu do antropologii (“An outline of statistical methods applied in anthropology”, 1913) であり、これはポーランド語で、当時の人類学者・民族学者・生物学者のあいだに「統計的・数量的手法」を紹介し普及させた書である。


 “Objective Kriterien in der Ethnologie” はその前の段階にあって、「民族誌/人類学の比較・分類における客観的基準 (objective criteria)” を論じた論文である。



“Objective Kriterien in der Ethnologie” に関する要約(伝記・二次資料から引き出せる内容)

以下は、“Objective Kriterien in der Ethnologie” の原典を直接読めない中で、Czekanowski の伝記・方法論に関する資料から「この論文で扱われたと思われる内容」を整理したもの。


1. 主題と目的

  • この論文は、「民族学/人類学(Ethnologie)」の中で、比較・分類をする際の基準をできる限り客観的に設けることを目的とする。つまり、ただ経験的に似ている・異なると感じるだけでなく、統計・測定に基づいた客観的指標を導入しようとする試みである。

  • 比較される対象(集団・形質・文化要素など)の定義、測定可能性、類似性と相違性をどう定量化するかといった問題が主要な議論となる。これには、形質(身体形態や頭蓋、比率など)、言語/音韻的特徴、物質文化、社会制度などが含まれた可能性が高いが、資料からは特に形質・形態測定と集団分類の文脈で論じられたことが示唆されている。

2. 方法論的要素

  • 記述統計 (descriptive statistics):平均値、分散、比率、比・比率変換などを用いて、異なる集団間/形質間の差を記述する。

  • 相関係数 (correlation coefficient) の利用:複数の形質/指標を持つ集団間で、どの指標が互いにどう関係するかを調べる。

  • 多重回帰 (multiple regression):複数の説明変数を使って、形質や分類上の変動を説明する試み。これは後の数量的比較・クラスタリングにもつながる。

  • 分類・タクソノミー的技法 (taxonomical / diagraphic methods):集団どうしの類似性・距離を測る指標を定めて、それに応じて分類木 (dendrogram) 的な構造またはクラスタリング的な構図を求める。たとえば、複数の形質の差異を計算し、それぞれの集団がどの程度似ているかを“距離”として表現する技術。

  • Czekanowski binary index(チェカノフスキ二値類似指数):2つの標本(集団またはサンプル)の間で類似性を測る指数。要するに、「共通して持つ特徴」の数と「異なる特徴」の数を比率化するなどの方法。これは、その後言語比較、生態学的コミュニティ比較など多分野で応用されている。

3. 結果・意義の方向性

“Objective Kriterien in der Ethnologie” を含む彼の初期の仕事は、比較人類学・民族学において以下のような方向を切り開いた:

  • 比較・分類を行う際、「主観的印象や歴史仮説」のみに頼るのではなく、測定可能な形質・データを用いた「客観性」の強化。

  • 異なる集団・文化・言語間の「類似度/距離」を数量的に評価することで、後のクラスタリング・分類樹 (taxonomy)・距離尺度 (distance metrics) の方法論への布石となる。

  • 特に東欧・ポーランドの人類学/民族学界において、「生物測定 (biometrics)」「個体間/集団間の統計的差異/相関」の議論を学問の標準として持ち込む役割を果たした。

  • また、形質測定など自然科学的技術の手法を用いることで、民族学/人類学の“科学性”を高めようとする信念が現れている。



総括:Czekanowski の初期クラスタリング発想の位置づけ

“Objective Kriterien in der Ethnologie” は、Czekanowski の後続の仕事(たとえば 1913 年の『Zarys metod statystycznych w zastosowaniu do antropologii』など)への橋渡し的著作であり、比較・分類の客観基準をいかに定めるかという方法論上の問いを早期に提唱したものである。この発想は、後に

  • 類似度・距離尺度を定義する手法(共通部分・相違部分の比率化など)

  • データの標本化・測定方法の標準化

  • 分類木/クラスタリングの構造を想定する思考

を含む数理・統計的分類技術の発展とつながる。

ただ、モーガン/ボアズなどと比べると、モーガンは文化進化スケールの普遍モデルを提示する壮大さがあり、ボアズは比較法の前提を批判する方法論的慎重さがあるのに対し、チェカノフスキの場合は「分類技術そのものを精緻化すること」に重心がある

文化的内容や進化仮定よりは、「どのデータをどのように比較するか」「類似をどう測るか」という手続き的、形式的な側面を先に整備しようとした点が特徴である。






あるけまや的コメント!( ・Д・))


1911年の論文には当たれませんでした!やぱ今の仕事してると毎日一本記事紹介してる中で図書館行けないのよね( -д-)ノ

まぁ後続の論文と、チェカノフスキを引用・評価している他の論稿の記述から大体は推測できたけどね。



論文の中で研究史概観してても、やはり1960年代以降のプロセス考古学から始めるし、社会進化論・文化進化論・社会有機体説を除けばここまで古い論文は使ってこなかったんでよね。

私の中で本格的に統計学手法を扱ったのはオルトン・クリーブの「数理考古学入門」(1980)なんですよ。



でも今回の記事のために調べていて、1911年段階で人類学者・民族学者・生物学者のあいだに「統計的・数量的手法」を紹介し普及させた書があったなんて驚きです。

アメリカだと考古学が人類学の仲間なんで境目が難しいところではありますが、考古学において数理的手法導入の最初の事例はいつのだれなんだろうとちょっと興味が湧いてきました・・・



まぁさすがに毎日1本記事書いてると、今後も新しく読む論文も増えていくはずです。

私も皆さんと一緒に勉強していきたいなと思います。



あとですね、一応この機会に論文のPDFデータも集めていますので、Xとかで連絡頂ければデータ送ります(*・ω・)ノ