余裕もって早めに寝たのになんだかねむい!( -д-)ノ
📰はじめに
── 土の中で眠っていた一片のチャコール化したパンが、現代の食文化と気候変動対策に新たなヒントを投げかけている。──
ある日、トルコ中部、キュルリュオバ・ホユック(Küllüoba Höyük)の発掘現場で、約紀元前3300年頃に焼かれ、さらに埋められたまま5000年近く地中に残っていた、まるで“パンの化石”とも言える焼き菓子状のパンが発見された。
これを契機に、古代の製粉・発酵・焼成の技術が蘇り、しかもその技術が“乾燥・水不足”という現代の農業・食の課題ともリンクしているというのだ。
🏺 発見の現場:Küllüobaで何が見つかったのか
発見地はトルコ中部アナトリア、Eskişehir近郊のKüllüoba Höyük。ここでは銅器時代初期〜中期の集落遺跡の発掘が行われており、2024年9月に発掘された“焼かれて埋められたパン”が注目を浴びている。
形状は直径約12センチ、円盤状、チャコール化・炭化しており、「パンらしき塊」がそのまま住宅基壇の下に敷かれていた。
発掘主任の Murat Türkteki 氏は「通常パンは出土時にはパンくずに過ぎないが、今回は形が残っていた。焼かれて埋められたという構造が保存を可能にした」と語っている。
このような“まるごとのパン”という出土は極めて稀であり、発掘・分析対象としても一次資料の価値が非常に高い。

↑これが発掘現場!( ・Д・)(「ZME Science」の記事内画像より転載)
🔍 原材料と製法:古代パンはどう作られたか
分析の結果、このパンには次のような特徴が見られた:
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粗挽きのエンマー小麦(古代小麦)を主原料としていた。
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レンズ豆(lentils)の種が混入されていた。
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未同定植物の葉が酵母代替として用いられていた可能性がある。
直径12センチ程度、円盤状、平たく焼かれており、焼成後に一部が裂かれ、その後焼かれたのち住宅の敷居下面に埋設されていた。裂かれた痕跡から、儀礼用途(豊穣・家屋完成祈願)で使用されたと研究者は推定している。
また、再現実験として、トルコの地方自治体によるパン製造ベーカリーが、古代品に近い材料(例えば近縁品種の「カビルカ小麦」、ブルグル、レンズ豆など)を用い、「キュルリュオバ・パン」として現代に復活させ、大衆にも提供を始めている。
🌍 温暖化・食料適応へのヒント:古代技術が現代に効く?
この発見で注目すべきは「ただ古いパンが出た」「再現した」という点だけではない。実はこの古代パンとその原料が、21世紀の気候変動・水不足・農業適応というテーマに直接リンクしているのだ。
例えば、研究では「このパンの原料小麦は、現在トルコ中部で深刻化している乾燥・水不足状況の中でも生育可能な古代品種に近い」と報じられており、自治体の市長も「我々の祖先は少水量作物を使っていた。今こそその知恵に戻る時だ」とコメントしている。
具体的には:
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エンマー小麦や近縁古代小麦は、現代の高収量品種に比べて雑草耐性・低水量適応性が高い可能性がある。
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レンズ豆など豆類の混合栽培・混合焼成という形は、たんぱく源・窒素固定源としても優れ、農業多様化のモデルとなりうる。
焼成・保存技術という観点からも、少加工・保存料不使用・栄養豊富という“持続可能な食”の設計モデルになる。
パンの再現ベーカリーでは、「低グルテン・保存料不使用・栄養価が高いパン」として販売され、消費者も多数並んで購入している。これが“食品遺産活用”ד食料問題解決”という新たなパラダイムを生みつつある。
🧭 社会・儀礼の視点:パンが持つ意味と古代文明の営み
発掘されたパンは、単なる食料の残片ではなく、古代社会の儀礼・社会構造・日常生活を映す鏡となっている。研究では以下のような見立てがなされている:
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パンが住宅の敷居下に埋設されていたという事実:これは家屋建築完了時の豊穣祈願・引越儀礼として、パンを断片化・焼成・埋設する慣習があった可能性を示唆しています。
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焼成後に裂かれた痕跡:これは“共有・分かち合い”あるいは“儀礼的分割”を示す行為と見る研究者もいます。
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集落はただ農耕をするグループではなく、商工・手工・採掘活動まで含む“複合機能都市”だったという分析も。パンのような加工品の存在は、単なる生産ではなく加工・保存・流通というステージを含んでいたことを示しています。
こうして、パンという“日常の食”が、古代文明の社会構造、儀礼、経済活動、環境適応までも映し出しているのです。
ところで気付いた?
久々にパン食べたいな!( ・Д・)







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