
(「Durham University」の画像より転載)
📰はじめに
こんにちは、「あるけまや」風に、少し長めでワクワクする導入からお届けします。私たち人類の旧友であるネアンデルタール人。「原始的」「野性」「文化はなかった」――そう思われてきた彼らですが、最近の考古学的発見がそのイメージを大きく塗り替えつつあります。洞窟の壁に手形や幾何学模様を残し、骨に意図的な刻みを入れ、赤いオーカー(顔料)で線を描いた――そんな“創造活動”の痕跡が、実はネアンデルタール人自身の手によるものだった可能性が高まっています。
「象徴」「芸術」「創造」という言葉は、長らくホモ・サピエンスだけの特権と思われてきました。しかし、もしネアンデルタール人も“芸術的存在”だったとしたら?それは、人間とは何か、文化とは何かを根底から問い直す出来事です。では、最新の研究と鮮やかな発見をもとに、ネアンデルタール人の“創造の世界”を一緒に探ってみましょう。
🖼️ 洞窟壁画と手形:64,000年前の記号とあかし
スペイン北部のラ・パシエガ洞窟(La Pasiega洞窟)やマルトラビエソ洞窟、アルダレス洞窟などでは、「赤い手形」「梯子状の模様」「指で引いた曲線」が約64,000年以上前の層で確認されており、科学的年代測定からそれが現代人到来前のもの、すなわちネアンデルタール人の活動圏に属する可能性が強く指摘されています。
特に、手形はただ押された跡ではなく、壁に沿ってきれいに配置され、顔料がその上に結晶化しており、意図的な記号行為だったことが示唆されています。このような“壁面を使った表現”は、「象徴的行為」「空間の意味化」「他者と共有するメッセージ」の可能性を含んでおり、ネアンデルタール人に「創造・芸術・共有」という人間的特徴があった可能性を浮かび上がらせます。

↑これがオーカー!( ・Д・)
(Straffon and Tennie 2025より転載)
🏺 刻まれた骨とオーカー:創造活動の“素材”痕跡
創造=絵を描くことだけではありません。ネアンデルタール人による象徴的・装飾的行為として、次のような発見も報じられています。例えば、ドイツ・ハルツ山脈近くのEinhornhöhle洞窟では、約51,000年前とされる巨大鹿の骨に意図的な彫り込み模様が入っており、これがネアンデルタール人による芸術的表現と評価されています。
また最近発表された研究では、クリミアおよびウクライナの遺跡から、赤・黄のオーカー(顔料)を「クレヨン」的に使った可能性がある石片が出土しています。先端が研がれていた痕跡などから、「線を描く・記号を刻む」という創造行為と解釈されるのです。これらは、「ネアンデルタール人は工具と顔料を使っていた」「単に機能的ではなく意味を付与しうる行為をしていた」という側面を支える証拠です。

↑これ骨!( ・Д・)
(「Live Science Plus」の画像より転載; d'Errico et al., Sci. Adv. 11, eadx4722)
🧬 脳と創造力:ネアンデルタール人も“アートのための思考”を持っていた?
創造的な行為には、技術・素材・思考・社会という複数の要素が絡み合います。研究によれば、ネアンデルタール人は次の要素を備えていた可能性があります。
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顔料・顔料加工・線描・記号化:上記のオーカー・手形・図形痕跡がその基盤です。
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構造的な社会・交流・模倣:たとえば、洞窟深部にまで赴いて壁面を使うという行動は、共同体・儀礼・知識伝達の要素を含みます。
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象徴を作る・象徴を共有する能力:刻まれた記号や図形は、それ自体が“意味”を持たされていたと解釈される研究があります。


↑ネアンデルタール人の物質文化って色々あるもんだね。下の画像は貝に穴を開けたビーズ状のもの、ネックレスになるのかな!( ・Д・)
(Straffon and Tennie 2025より転載)
🌍 人間性再考:ホモ・サピエンスだけが“芸術する種”ではない
この発見が持つ社会的・文化的インパクトは大きいです。
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「芸術・創造性=ホモ・サピエンスの特権」という図式が揺らぎます。ネアンデルタール人にも創造・表現・意味付けという能力があったというなら、人類が“唯一の創造者”ではなく、複数の人類系統が文化的営みをしてきたことになります。
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考古学・文化史・人類史において、「道具と狩猟だけ」のネアンデルタール像から、「創造・装飾・象徴」をも含む複雑な社会像へと変化します。
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現代の「創造」あるいは「芸術」をどう捉えるかにも影響します。創造性は写実性や複雑性だけではなく、“意味づくり”の深さと社会的共有の幅が鍵であるという再認識を促されます。
おわりに






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