
本研究を掲載した『American Antiquity』の論文では、北米先住民のダイス文化を先史時代までさかのぼって追跡し、最古の例を後期更新世フォルサム文化に置いています。海外報道もこれを「世界最古のダイス」「氷河期の確率ゲーム」として大きく取り上げています(。・ω・)ノ゙
📰 はじめに
サイコロって聞くと、どうしてもメソポタミアとか古代都市とか、そういう“文明っぽい場所”を想像しがちなんだよね。
でも今回の話は、そこをかなりひっくり返してくる。
新しい研究では、アメリカ西部の遺跡から出ていた骨や木の小さな二面体の道具を見直した結果、アメリカ先住民の狩猟採集民が1万2000年以上前、つまり氷河期の終わりごろには、すでにゲーム・オブ・チャンスに使うダイスを作っていた可能性が高いとされた。しかもこれは、これまで知られていた旧世界の初期ダイスより6000年以上古い可能性がある。
これ、かなり強いです。
なぜなら今回見つかったのは、
金銀の賭博道具でも、王様の遊具でもなく、
骨片みたいな小さな遺物だからだ。
でもその小ささの中に、
「人間はいつから“偶然”を道具として扱っていたのか」
っていう、かなりでかい問いが入っているんだよね。

↑これが古代のダイス!( ・Д・)(Madden 2025; Figure 1より転載)
🎲 見つかったのは、“六面サイコロ”ではない
ここ、まず大事。
今回の研究で扱われたのは、いま僕らが思い浮かべる立方体のサイコロではない。
多くは骨や木でできた二面体で、片面に線や色がついていて、もう片面は無地に近い。研究ではこれを “binary lots” と呼んでいて、感覚としては「コイン投げに近いランダム道具」なんだ。複数個をまとめて投げれば、そこからもっと複雑な結果も作れる。
つまりこれは、
「カジノのサイコロがあった!」
というよりは、
「偶然を使って勝敗や結果を決めるための道具が、もう氷河期末にあったかもしれない」
という話なんだよね。
だから“賭博道具”という言い方は間違いではないんだけど、現代のギャンブルのイメージをそのまま当てると少しズレる。研究者自身も、これはランダムな結果を生み出すための二面体の道具だと説明している。
🦴 なぜ骨片が「ダイス」だと分かったのか
ここが今回の研究のいちばん面白いところ。
考古学って、こういう小さい骨片が出ても、正直「飾りでは?」「別用途では?」ってなりやすい。
実際、この論文もそこをかなり意識していて、20世紀初頭に記録された北米先住民の民族誌資料をもとに、「ダイスとみなすための4条件」を作っている。ざっくり言うと、
二面体であること、
穴が開いていないこと、
面が線や色で区別されていること、
手に持って投げられるサイズと形であること、
このあたりだね。論文は、こうした客観基準が今まで曖昧だったため、先史時代のダイスの起源がはっきり追えなかったと説明している。
その基準で調べた結果、著者は565点の「診断的なダイス」と、94点の「おそらくダイス」を抽出した。合計659点で、57遺跡・12州にまたがる。つまり今回の話は、たまたま1個だけ怪しい骨片が出た、という話じゃない。かなり広い時代・地域にわたるパターンとして見えてきたんだ。



↑これが民族誌資料のダイス!( ・Д・)(Madden 2025; Figure 2~4より転載)
⏳ 最古の例は、フォルサム文化の平原ハンターたち
で、その中でも最古級なのが後期更新世のフォルサム文化に属する資料。
論文では、ワイオミング州のアゲート・ベイスン遺跡、コロラド州のリンデンマイヤー遺跡、ニューメキシコ州のブラックウォーター・ドロー遺跡などから、フォルサム期のダイスが確認されたとしている。年代はおおよそ1万2800年前後で、論文ではこの文化を 12,845–12,255 BP としている。
しかも、フォルサム期の例だけで20点あり、そのうち19点は骨製だった。
片面に刻線が入っていたり、縁に刻みがあったり、赤い顔料らしき痕跡が残っているものまである。つまりこれは、ただ丸く削った骨ではなく、「面を見分ける」ことが前提になっている道具なんだよね。
ここ、かなり好きなんだよなあ。
氷河期末のグレートプレーンズって、バイソン追って槍持ってる世界のイメージが強いじゃん。
でもその横で、人びとが手のひらサイズの骨片を投げて、運を決める遊びというか、勝負というか、そういうことをやっていたかもしれないわけだ。
狩りだけじゃなく、偶然まで操作しようとしていた感じがして、急に人間くさくなる。
⚖️ “賭博”というより、むしろ社会をつなぐ技術かもしれない
今回の研究、ここも重要。
研究者はこれらのダイスを、単なる娯楽道具としてではなく、「社会統合の技術」だった可能性があると見ている。
Science News や Live Science が紹介しているように、こうしたゲームは、見知らぬ集団どうしが出会ったときの“中立的なルール空間”として働いたのではないか、と解釈されている。物や情報、さらには配偶関係まで含めた交換の場で、こういう偶然のルールが役立ったのではないか、というわけだ。
つまり今回の骨片は、
「誰かが賭けで熱くなっていた」
ことを示すだけじゃなくて、
「離れた集団どうしが、争わずに関係を結ぶためのルールを持っていた」
可能性まで見せてくる。
考古学って、道具の用途を生活か儀礼かで分けたくなりがちだけど、こういうゲーム道具って、その中間をするっと抜けてくるんだよね。遊びでもあり、交渉でもあり、交換でもあり、社会そのものでもある。

↑これが最古段階ののダイスの広がり!( ・Д・)(Madden 2025; Figure 5より転載)
👩 しかも、女性が中心だった可能性まである
さらに面白いのがこの点。
論文は、民族誌記録の分析として、参加者の性別が分かる131例のうち81%が女性限定、12%が男女混合、男性限定は7%だったという先行研究も引いている。もちろん、これをそのまま1万2000年前にまで延ばせるわけではない。けれど著者は、もしこの傾向が深い過去まで続いていたなら、ダイスやチャンスゲームに関わる社会的・知的な革新の前線に女性がいた可能性もある、としている。
これ、地味にでかいよね。
旧石器・先史の知的技術って、どうしても狩猟具とか石器とか、男性的に語られやすい。
でももし、集団間関係をつなぐゲーム技術の担い手に女性が大きく関わっていたなら、先史時代の“社会を動かす知”の見え方そのものが変わってくる。
🧠 あるけまや的に、ここがいちばん面白い
あるけまや的に今回おもしろいのは、これが「遊びの歴史」では終わらないところ。
サイコロって、要するに
偶然を、道具として扱う
ってことなんだよね。
出た目に意味を与える。
運をルール化する。
不確実さを、人と人のあいだで共有できる形にする。
これって、かなり高度なことだと思うのさ。
論文も、こうしたダイスの出現を、人類が chance・randomness・probability に実践的に関わった早い例として位置づけている。海外報道でも、「確率的思考の最古級の証拠」として読まれている。
だから今回更新されたのは、
単なる賭博史ではない。
人間がいつから、
「どうなるか分からないこと」を
ただ恐れるだけじゃなく、
ゲームとして扱い始めたのか。
そこが一気に古くなった。
しかもその舞台が、都市国家でも神殿でもなく、アメリカ先住民の狩猟採集社会だったかもしれない。ここ、かなり熱い。
🤔 ただし、そこは少し慎重に見たほうがいい
とはいえ、今回の話にはちゃんと“かもしれない”の部分もある。
この研究は、遺物に「PLAYED HERE」って書いてあるわけではない以上、機能を直接観察したわけではない。
だからこそ論文は、民族誌資料と形態基準を使って、かなり慎重に identification を積み上げている。言い換えると、今回強いのは「それっぽい」ではなく「かなり筋の通った基準で、ダイスと解釈できるものが大量にある」という点なんだよね。
なので雑に言うと、
「氷河期の人びとがラスベガスしてた」
ではないです( ・Д・)
でも、
「氷河期末の北米で、偶然を使うルール化されたゲームがかなり発達していた可能性が高い」
というのは、かなり本気で考えてよさそう。
この差は大きい。


↑他の古代のダイスたち!( ・Д・)(Madden 2025; Figure 9,10より転載)
✍️ あるけまや的まとめ
今回の話を雑に言うと、
アメリカ西部の先住民遺跡から出ていた骨片や木片を見直した研究で、二面体のダイス的道具が57遺跡から計659点確認され、そのうち最古級のものはフォルサム文化の遺跡にさかのぼった。年代は1万2000年以上前で、旧世界の最古級ダイスより6000年以上早い可能性がある。しかもそれは、ただの遊び道具ではなく、集団間の交流や交換を支える“社会技術”だったかもしれない。
だから今回の発見は、
「世界最古の賭博道具かもしれない」
だけじゃなく、
「人類はかなり早い段階から、偶然をルールとして扱い、他者との関係づくりに使っていたのかもしれない」
というところまで見せてくる。
骨片なのに、話がでかい。
いや、骨片だからこそでかいのかもしれない。
こういうの、かなり好きなんだよね( ・Д・)
なにはともあれ・・・・・・私は”チンチロマスター”だが、
1万2000年前の人たち、負けたときどんな顔してたんだろうね?( ・Д・)





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