
↑研究にはお金かかるよね!海外発掘調査は特にけっこうかかるぜ!( ・Д・)
今回の考古学・歴史ニュースは「東京大学が20年以上続けてきたイタリアの古代ローマ遺跡発掘調査が、資金難で寄付を呼びかけているぞ! しかも寄付額はすでに1500万円を突破し、次の目標は3000万円らしいぞ!( ・Д・)」ってお話です(*・ω・)ノ
📰 はじめに
舞台は、南イタリア・カンパニア州。
ヴェスヴィオ山の北麓にある、ソンマ・ヴェスヴィアーナ遺跡である。
ここで東京大学の発掘チームは、2002年から調査を続けてきた。
目的は大きく二つ。
ひとつは、ヴェスヴィオ山噴火の被災地が、その後どのように復興していったのかを考古学的に明らかにすること。
もうひとつは、初代ローマ皇帝アウグストゥスの終焉の地を、考古学的に検証すること。
いや、テーマが大きい。
大きすぎる( ・Д・)
しかも近年の調査では、アウグストゥスの時代に関わる可能性のある建物や、浴場を温めるためのカマドのような施設、アンフォラが並ぶ倉庫状の空間などが確認されている。
もし本当にアウグストゥス終焉の地に関わる遺構なら、これは古代ローマ史でもかなり大きな話である。
ただし、問題はお金である。
発掘調査には、お金がかかる。
人件費。
機材費。
現地滞在費。
保存処理費。
足場や屋根などの保全費。
学生教育の費用。
そして、掘ったあとに守り続ける費用。
ロマンだけでは、遺跡は掘れない。
考古学、現実が重いのである。
🌋 ソンマ・ヴェスヴィアーナとはどこなのか
ソンマ・ヴェスヴィアーナは、ヴェスヴィオ山の北麓にある町である。
ヴェスヴィオ山といえば、すぐに思い浮かぶのはポンペイだろう。
西暦79年の大噴火によって、ポンペイやヘルクラネウムは火山灰や火砕流に埋もれた。
そのため、古代ローマの町並みや生活の様子が、非常に良い状態で保存された。
ポンペイはまさに、火山災害によって凍りついたローマ都市である。
一方で、ソンマ・ヴェスヴィアーナは少し違う。
場所はヴェスヴィオ山の北側。
ポンペイは南東側にある。
つまり、同じヴェスヴィオ山周辺でも、災害の受け方やその後の歴史が違う可能性がある。
今回の東大チームの調査が面白いのは、単に「埋もれたローマ遺跡」を掘っているだけではないところだ。
噴火で壊れた。
その後、再び建物が作られた。
さらに別の時代にまた利用された。
そうした、災害と復興の長いプロセスを追える可能性がある。
つまりここは、ポンペイのように「破壊の瞬間」を見る場所であると同時に、「破壊のあと、人間社会がどう戻ってきたのか」を見る場所でもある。
災害考古学としても、かなり重要なフィールドなのだ。
👑 アウグストゥスとは何者だったのか
今回の話で避けて通れないのが、アウグストゥスである。
アウグストゥスは、ローマ帝国の初代皇帝である。
もともとの名はオクタウィアヌス。
カエサルの後継者として内乱を勝ち抜き、紀元前27年に「アウグストゥス」の称号を得た。
ここから、ローマは共和政から帝政へと大きく変わっていく。
もちろん、ローマ人自身は「はい、今日から帝国です!」と単純に思っていたわけではない。
表向きには共和政の制度を残しながら、実際にはアウグストゥスが圧倒的な権力を持つ。
このあたりがローマ政治の面倒で面白いところである。
アウグストゥスの時代には、内乱の時代が終わり、いわゆる「パクス・ロマーナ」、つまりローマの平和へ向かう基盤が作られた。
だから、アウグストゥスはただの初代皇帝ではない。
ローマ世界の秩序を作り替えた人物である。
その最期の場所がどこだったのか。
これは、古代ローマ史にとってかなり象徴的な問題なのだ。
🏡 皇帝の別荘は、ただの別荘ではない
古代ローマの上流層にとって、別荘、つまりヴィラは重要な空間だった。
都市ローマの政治空間から少し離れ、地方に巨大な邸宅を持つ。
そこには農園があり、倉庫があり、浴場があり、宴会空間があり、来客を迎える場所があった。
つまりヴィラは、単なる休暇用の家ではない。
富を見せる場所。
人脈を作る場所。
支配者の余裕を演出する場所。
地方支配や経済活動の拠点。
そういう意味を持っていた。
だから、もしソンマ・ヴェスヴィアーナの遺跡がアウグストゥスに関わるヴィラだったなら、そこはただの「皇帝の家」ではない。
ローマ帝国初期の権力、接待、記憶、儀礼、地方支配を考える重要な場所になる。
しかも、アウグストゥスの死後に記念的な建物が作られた可能性があるなら、それは皇帝崇拝や記憶の政治とも関わる。
古代ローマ、やっぱり一つの建物から話が広がりすぎる。
🔥 ヴェスヴィオ山の噴火は南側だけの話ではなかった?
これまで、西暦79年のヴェスヴィオ山噴火というと、どうしてもポンペイやヘルクラネウムの印象が強かった。
当然である。
あの保存状態は圧倒的だ。
道。
家。
壁画。
パン屋。
浴場。
人びとの遺体。
ポンペイは、古代ローマの都市生活を考える上で、あまりにも強すぎる資料である。
しかし、噴火の影響は、山の南側だけに限られたわけではない。
東大の調査では、ヴェスヴィオ山北麓のソンマ・ヴェスヴィアーナでも、79年噴火に伴う火山性堆積物によって建物が埋もれたことが示されている。
これは重要である。
もし北麓でも破壊的な被害が確認されるなら、79年噴火の影響範囲や被災のあり方を、より広く考える必要が出てくる。
つまり、ソンマ・ヴェスヴィアーナは、ポンペイの周辺資料ではない。
ヴェスヴィオ災害を立体的に理解するための、もう一つの重要地点なのだ。
🏺 何が見つかっているのか
これまでの調査では、複数時期の建物が確認されている。
上層には、2世紀に作られた大規模な建物がある。
その下に、アウグストゥスの時代に関わる可能性のある、より古い建物が見つかっている。
2023年の調査では、この下層建物が1世紀前半に確実に機能していたこと、そして79年のヴェスヴィオ山噴火で埋もれたことが示されたという。
また、倉庫のように使われた空間では、アンフォラが並んでいた。
アンフォラとは、ワインや油などを運搬・保存するための大型容器である。
ローマ世界の流通を考えるうえで、とても重要な遺物だ。
さらに、浴場を温めるためのカマドのような施設も確認されている。
最近の説明では、少なくとも7基のカマド状施設が確認されたとされる。
これが本当に大規模な浴場設備に関わるなら、かなり豪華な建物だった可能性が高い。
浴場は、古代ローマでは日常生活であると同時に、社会的な空間でもある。
まして巨大な私的浴場となれば、持ち主の富と権威を示す。
「誰がこんな施設を持てたのか?」
という問いが出てくるのは当然である。
🧱 アウグストゥス終焉の地なのか
古代の記録では、アウグストゥスはノラ付近の別荘で亡くなったとされる。
ソンマ・ヴェスヴィアーナは、そのノラに近い。
そのため、この地域には以前から、アウグストゥスの終焉の地に関わる伝承があった。
1920年代にも遺構が見つかり、調査が行われたが、その後、政治的混乱や資金難などもあり、発掘は止まってしまった。
そして2002年、東京大学のチームが本格的に調査を再開した。
その結果、これまでに大規模建築、彫像、柱、アンフォラ、カマド状施設、火山堆積物など、重要な手がかりが積み上がってきた。
ただし、ここは慎重に言いたい。
現時点で、
「ここがアウグストゥスの最期の別荘で確定!」
とまでは言えない。
あくまで、その可能性がかなり重要な研究課題になっている、という段階である。
考古学では、ロマンがあるほど慎重さが必要になる。
でも、確定していないからこそ、掘る価値がある。
あと一歩で何かが見えるかもしれない。
そういう局面にあるわけだ。
💰 しかし、お金がない
ここからが今回のニュースのもう一つの主役である。
お金である。
東大は、このソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクトについて、資金難により発掘調査継続が困難になっているとして、緊急支援キャンペーンを始めた。
当初の目標金額は1500万円。
これは、2026年の発掘調査を必要最小限の規模で行うための金額とされていた。
そして、その目標は6月18日に達成された。
すごい。
さすが東大である。
ただし、そこで終わりではなかった。
1500万円はあくまで必要最小限の規模の費用。
従来規模で発掘調査を行うには、さらに1500万円が必要だという。
そのため、現在はネクストゴールとして3000万円を目指している。
記事を書いている時点では、寄付額はすでに2700万円を超えている。
いや、強い。
東大の知名度、強すぎる。
OBネットワーク、たぶん強すぎる。
文化財への関心、ローマ人気、アウグストゥス人気、そして「あと一歩」という物語性。
いろいろ重なって、ここまで来ているのだろう。
🛠️ 発掘費用は、掘るだけではない
一般の人から見ると、
「発掘にそんなにお金がかかるの?」
と思うかもしれない。
でも、かかる。
発掘は、ただスコップで掘る作業ではない。
発掘区を設ける。
土を運ぶ。
測量する。
写真を撮る。
図面を作る。
遺物を洗う。
番号をつける。
保存する。
分析する。
報告書を書く。
現地機関と調整する。
学生を教育する。
現場の安全を確保する。
遺構を雨風から守る。
しかも、今回のような大規模遺跡では、掘ったあとに保全しなければならない。
遺構は地中にあるときは、ある意味で守られている。
でも、掘り出すと空気に触れる。
雨に当たる。
乾燥する。
崩れる。
だから、掘ったら終わりではない。
掘ったあとに守る責任が発生する。
ここが考古学の怖いところである。
遺跡は、掘るほど責任が増える。
🎓 学生教育としても重要な現場
このプロジェクトは、研究だけではなく、学生教育の場でもある。
海外の本格的な発掘現場に学生が参加する。
古代ローマ史。
考古学。
火山学。
保存科学。
文化財保護。
国際協力。
こうしたものを現地で学ぶことができる。
これは非常に大きい。
考古学は、机の上だけでは身につかない。
現場で土を見る。
層を見る。
遺物を見る。
遺構の壊れ方を見る。
人と調整する。
現場で判断する。
そういう経験が必要になる。
だから、発掘調査の継続は、研究成果だけではなく、次世代の研究者を育てることにも関わる。
ここは素直に大事だと思う。
🏛️ 文化遺産は誰が支えるのか
今回のニュースは、考古学そのものだけでなく、文化遺産を誰が支えるのかという問題も突きつけている。
国が出すのか。
大学が出すのか。
研究費で出すのか。
民間が出すのか。
寄付で支えるのか。
研究者が自腹を切るのか。
現実には、その全部が少しずつ混ざっている。
とくに海外調査は大変である。
現地機関との共同研究。
許可。
渡航。
滞在。
機材。
通訳。
保存処理。
国際輸送。
公開。
報告。
すべてにお金がかかる。
一方で、人文系の研究費は潤沢とは言いにくい。
考古学は、派手な成果が出るとニュースになる。
でも、そのニュースの裏側には、毎年の資金確保、現地調整、報告書作成、保存処理という地味で重い仕事がある。
今回の寄付キャンペーンは、その裏側をかなり見せている。
🧠 研究と広報の時代
個人的に面白いと思うのは、今回のプロジェクトが、研究だけでなく広報もかなり強く打ち出していることだ。
「初代ローマ皇帝アウグストゥス終焉の地」
「2000年解けぬ謎」
「あと一歩」
「発掘調査継続の危機」
こうした言葉は、かなり強い。
研究者としては、少し煽りが強いと感じる部分もあるかもしれない。
でも、寄付を集めるには、研究の意義を社会に伝えなければならない。
ただ「重要な遺跡です」では、なかなか届かない。
なぜ重要なのか。
何がわかるのか。
今やめると何が失われるのか。
なぜ支援が必要なのか。
それをわかりやすく伝える必要がある。
これは、これからの考古学にとって避けられない課題だと思う。
研究者は掘るだけでは足りない。
説明しなければならない。
応援してもらわなければならない。
なかなか厳しい時代である。
🔍 今回の発見の何が重要なのか
今回のソンマ・ヴェスヴィアーナ遺跡の重要性は、いくつかある。
まず、アウグストゥス終焉の地に関わる可能性があること。
次に、79年のヴェスヴィオ噴火が北麓にも破壊的影響を与えたことを考える手がかりになること。
さらに、噴火後の復興や再利用の過程を、長期的に追える可能性があること。
そして、古代ローマのヴィラ、浴場、倉庫、アンフォラ、火山災害、皇帝記憶が一つの遺跡に重なっていること。
これは、かなり贅沢なフィールドである。
ただし、研究が進むためには、継続が必要である。
一年掘って終わり、ではない。
長年の蓄積があるから、見えてくるものがある。
だから、ここで調査が止まると、痛い。
それは確かだ。
⚠️ でも、考古学者の本音もある
ただ、ここで少しだけ本音も言いたい。
1500万円。
そしてネクストゴール3000万円。
いや、すごい。
本当にすごい。
もちろん、大規模な海外調査、保存、教育を考えれば、必要な金額なのだろう。
でも、普段からお金のなさに慣れすぎた考古学者の感覚からすると、
「嘘だろ? そんなに集まるのか!?」
という驚きもある。
東大という看板の強さ。
アウグストゥスという名前の強さ。
古代ローマという人気ジャンルの強さ。
そして、おそらくOBや支援者ネットワークの強さ。
その全部が見えてくる。
考古学は、研究内容だけでなく、研究を支える社会的基盤でも差が出る。
これはなかなか考えさせられる。
✨ おわりに
今回のソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクトは、かなり大きな話である。
アウグストゥス。
ヴェスヴィオ山。
西暦79年の噴火。
ポンペイの裏側。
皇帝の別荘。
浴場施設。
アンフォラ。
災害と復興。
そして、発掘資金。
古代ローマ史としても面白い。
災害考古学としても重要である。
そして、現代の研究資金問題としても非常に生々しい。
遺跡は、掘れば過去が出てくる。
でも、掘るにはお金がいる。
保存するにもお金がいる。
研究者を育てるにもお金がいる。
結局、考古学はロマンと現実のあいだにある。
2000年前の皇帝の最期を追いかけるには、現代の寄付ページを動かさなければならない。
これはこれで、なかなか現代的な考古学の姿である。
それにしても、1500万円を超えて、すでに2700万円超え。
東大、強い。
いや本当に強い。
こちらとしては、
ティカルなら200万円で結構です!(笑)
と言いたくなるところである。
もちろん冗談だけど、半分くらいは本音である( ・Д・)
それでも、こうして文化遺産にお金が集まること自体は、とても良いことだと思う。
あとは、そのお金で何が見えてくるのか。
アウグストゥスの最期の場所に、本当に近づけるのか。
ヴェスヴィオ山北麓の災害と復興の歴史を、どこまで掘り起こせるのか。
そこに注目したい。
考古学は、地面の下だけでなく、財布の中とも戦っているのである( ・Д・)
何はともあれ……ほんとデカいピラミッド掘らなきゃ200万円で足りるぜ!
ってか研究費獲得してなんぼ、できなきゃあるだけで工夫してなんぼ!( ・Д・)
↓だがしかし支援してくれるならとても喜ぶヾ(´ω`=´ω`)ノ









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