2018ねん 4がつ 27にち(きんよーび、曇り)

最近天気悪いな。カラッと晴れて欲しいものだ。

そうしたら私の心の中も春色になるかも知れない。

そう言えば桜が咲いたらしい…あ、週末だ。

晴れたら花見に行こう、桜柄の缶ビール片手に。

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↑穿孔の痕跡のある牛の頭蓋骨(AFPBB Newsより画像を一部加工、邦訳記事としてヤフーニュースを参考)

【目次】
  1. 家畜に対する外科手術の痕跡の発見か?
  2. 医療の歴史と考古学、民間療法と医学・薬学

1.家畜に対する外科手術の痕跡の発見か?
フランス西部で変わった牛の頭蓋骨が出土した。当該地域には紀元前3400~3000年の新石器時代に属する集落があったことが分かっている。この集落址の周辺には多数のウシの骨片が散乱しており、ブタやヒツジ、ヤギと共に多様な種の牧畜を行っていたと考えられている。

問題のウシの頭蓋骨には5cmほどの楕円形の穴が開いており、発見当初はウシ同士の喧嘩の際に相手のツノによってできたものと考えられた。しかし高倍率顕微鏡や高解像度スキャナーによる分析結果では、打突の衝撃によって生じる頭蓋骨の破砕痕が検出されなかった。

げっ歯類のような小型動物による損壊の痕跡とも異なり、梅毒等の病気によって一部の骨が融解した事例とも異なることが分かった。

そのため調査に当たったフランスの形質人類学チームは、人為的に丁寧に開けられた穴の痕跡であると推定した。ただし術後に骨組織の回復が確認できないため、施術を受けたウシは手術中あるいは術後間もなく死亡したか、あるいは死体ないし頭蓋骨に対して施術されたと考えられる。

今回の発見からは、この穿孔行為がウシを救うための手術だったのか、人への外科処置の練習だったのかについての判断できない状況である。

しかしがならフランス国立科学研究センター(CNRS)のフェルナンド・ラミレス・ロッツィは「動物に対して行った穿頭術として最古の事例である」と評価している。


2.医療の歴史と考古学、民間療法と医学・薬学
人に対する穿頭術の痕跡は、ヨーロッパの新石器時代では多くの事例が確認されています。今回の発見は、「家畜ないし動物」が対象であることがポイントなのです。

さて、急速な科学技術の発達に伴い、医療器具も進化しています。それに伴い近年の外科手術や麻酔に関する知識・技術は著しく進歩していると言えるでしょう。

19世紀のヨーロッパに見られる外科手術では、麻酔の知識はあったものの不十分であり、手術時には拷問のような痛みを伴ったと記録されています。外科手術の死亡率は80%とも言われています。

そのまま死んだ方がむしろ楽に思える状況と数字ですね。もちろん当時の人体実験のような手術の数々の実践がきっと現代医療の礎となっている、ことを願ってやまないです。

さらに遡って、古代エジプトでは歯科に関する施術知識が文字記録として残っています。その古さは紀元前3000年!人類は古くから病気と闘ってきたのですね。

古代インカにおいても紀元前3500年ほどに穿頭術が行われており、その成功率は70%と推定されています。この値は19世紀の外科手術より凄いと思われるかも知れません。この数値の違いは外科手術行為の対象の違いであり、19世紀には様々な病気に対して外科手術が行われたのに対し、穿頭術というのは限定的な施術なのです。

新石器時代のヨーロッパや古代インカに見られるように、当時の争いはこん棒や投石を武器にしていたため、打撃による頭部の骨折が多かったのです。時代が新しくなるとヨーロッパや日本では刀剣や弓矢による斬撃、刺突によるダメージが主体になります。

頭部を骨折すると折れた部位が脳を圧迫しますので、その骨折あるいは変形した部分の骨を取り除くことで骨や出血による脳へのダメージを軽減しました。これが穿頭術なのです。強調のためか、「古代の脳外科手術」と呼称されたりもしますが、脳外科と聞いて現代の私たちが想像するような複雑なものではないのです。

さて、遥か古代から病気やケガと闘ってきた人類ですが、その経験知は民間療法として息づいている場合があります。人類学者による聞き取り調査等によって得られた「伝統的な知恵」が現在の医療に役立つケースがあります。特に薬学では既知の薬草であっても新たな効能の気付きとその成分の抽出に成果を上げている事例があります。

私たちに馴染み深い漢方も民間医薬の一つです。民間療法や民間医薬には危険性もありますが、現代科学や医学の知識と照らし合わせることで、一般化した化学合成された医薬品とは異なる生薬等の植物由来の天然医薬品の開発に役立っています。

狭義の考古学だけでは現代の医学・薬学に関係した研究を行うことは困難のように思えますが、広義の人類学としては現代社会とのより直接的な結びつきが窺えます。

伝統に裏打ちされた古き知恵の活用、「温故知新」の扉は私たちのすぐ傍にあるのかも知れません。


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