最近体調がすこぶる悪い。
というか変わった皮膚炎にかかったり、
それが目に飛び火したりと辛い。
健康が一番!
お酒を生贄(酒断ち)にしたら、厄が払えるだろうか。
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↑ミイラ化した生贄、左が子供、右がリャマの子供(ヤフーニュースより転載;元画像:Nacional Giographic 日本版, PHOTOGRAPH BY GABRIEL PRIETO )
【目次】
- 史上最大規模!超大量の生贄を発見!
- アンデスにおけるミイラの作り方
- おわりに
1.史上最大規模!超大量の生贄を発見!
ペルー北部沿岸地域で、史上最大規模の超大量の生贄が発見されました!発見された遺跡は、チムー王国に属するラス・リャマスという遺跡です。
チムー王国は西暦850-1470年頃にペルー北部沿岸地域を支配しており、最盛期には1000kmもの海岸線域をその領域下としていました。このチムー王国の首都、チャン・チャン近くに位置するラス・リャマス遺跡の、太平洋を見下ろす断崖の上でこの大規模儀礼の痕跡が発見されました。
これまでの事例では生贄は成人が主でしたが、このラス・リャマスで生贄になったのは子供でした。その数140人強!また子供のリャマ(ラクダ科の動物で見た目はアルパカに似ています)が200頭強も生贄にされました!
見つかった儀礼の痕跡は単一の泥の層から発見されたため、恐らく一度の儀礼でこの大規模な生贄が捧げられたと考えられています。また泥の層は様々な痕跡が残りやすい環境にあるため、サンダルを履いた成人、犬、素足の子ども、リャマの子の足跡が残っていました。また脚が4本ある生贄(恐らくリャマ)が抵抗して足を踏ん張りながら引きずられていった跡と思われる痕跡も残っていました。
これらの痕跡から研究者チームは儀式の過程を復元しており、子どもとリャマの集団は断崖の北端と南端から連れてこられて、遺跡の中心に集まり、そこで殺害されて埋葬されたようです。
またペルーの海岸地域は基本的に乾燥しているため、儀礼の痕跡に関連する泥の層は激しい雨や洪水によって生じた可能性があります。つまり生贄の儀式が行われた当時、この地域はエルニーニョによる異常気象によって海水温が上昇して近海では魚が獲れなくなっていた状況が推測できます。また大雨や洪水によってチムー王国内の農業用運河が破壊されてしまったのかも知れません。
多量の生贄と共に出土した布製品等を対象にした炭素年代測定によって儀礼が実施された時期は西暦1400-1450年であると推定されています。チムー王国はラス・リャマスの集団生贄の儀式からわずか数十年後(1470年頃)にインカ帝国の侵攻を許し、その支配下に入ることから、非常に危機的な状況にあったことが推測されます。
異常気象によって生業・経済基盤が崩されたことで、国を救うべく、人類史上に稀に見る大規模の、しかも子供の生贄儀礼が行われたようです。
2.アンデスにおけるミイラの作り方
さて、生贄の風習も世界各地で見られるのですが、ミイラを作る文化も散見されます。中でもエジプトが最も有名ですね。他にも中国や日本でも見られます。
また文化というわけではないですが、メキシコにも事例がありますし、世界で最も美しいミイラとされるイタリアのロザリア・ロンバルドも有名です。世界のミイラや生贄についてはまた別の機会に整理して記事にしたいと思いますので、乞うご期待!(*・ω・)ノ
さて、ミイラは基本的に自然にできません。ミイラとは生物の死体が極度に乾燥することで腐敗分解を抑えることで出来上がります。砂漠等の極端に高温で乾燥した地域で脱水症状で亡くなれば、自然とミイラ化するケースもあります。メキシコのグアナファトも乾燥気候と土壌の成分によって天然のミイラが出来上がる事例ですが、このような自然発生的なミイラは稀なのです。
余談ですが、中米等の抗生物質がその辺の薬局で処方箋なしで買えてしまう国では、お金持ちが具合悪くなる度に多量に抗生物質を摂取するため、死後腐敗せずにミイラ化する事例が確認されています。
とまぁ普通は生物が死亡すると細菌の働きにより腐敗しやがて分解されます。この時死体が含む水分が少なくなればなるほど細菌活動が低下します。ミイラ作りの基本は乾燥です。その他、脳や内臓といった腐敗しやすい部位の除去や防腐剤の塗布といった方法が組み合わせて用いられます。
さて、アンデス地方のミイラの作り方は少し変わっています。死者の内臓と筋肉を摘出した後に、火力を使って体内の水分を乾燥させます。屈葬のような膝を折らせた格好(体育座りみたいな感じ)にして布を巻き付け、籠に入れた上からさらに布を巻きつけます。布を巻き付ける辺りはエジプトのミイラのイメージそのものですね。
アンデス地方では紀元前2世紀頃からミイラ作りが行われていました。13世紀にクスコ王国(後のインカ帝国)が成立した後もミイラ作りの文化は続きました。16世紀以降のスペイン植民地期の文献資料によると、インカ帝国ではミイラを住居内に安置し、生前と変わらず食事を供えて話しかけることで死者への愛情を示したといいます。
単に何か叶えたい願いがあるとか贖罪の意味で生贄にしたわけではないようですね。アンデス文明に限らず人類史におけるミイラ作りが有する文化的・宗教的意味は興味深いですね。勉強しておきます(。・ω・)ノ゙
3.おわりに
さて、生贄と言えば、旧約聖書に出てくる贖罪のヤギ!私だけでしょうか?(誤変換で食材の山羊って...まぁジンギスカンはヘルシーで美味しいですけどね)
この贖罪の日に捧げるヤギが「スケープゴート」の語源になっています。以下は、スケープゴートを比喩的に使う時の意味です。
不満や憎悪、責任を、直接的原因となるもの及び人に向けるのではなく、他の対象に転嫁することで、それらの解消や収拾を図るといった場合のその不満、憎悪、責任を転嫁された対象を指す。とまぁ生贄の儀式はなくなりましたが、現代社会でも似たようなことをしてるのかも知れません。ニュースでよく叩かれる芸能人にせよ、政治家にせよ、あるいは私たち一般の人々の何気ない日常生活の中でも「責任転嫁」は潜んでいます。
簡単な使われ方として、事態を取りまとめるために無実の罪を着せられた「身代わり」や、無実の罪が晴れた場合の「冤罪」などが存在する。
政治の一つの手法として使われる意味合いとしては、方針や主義に不利益とされる小規模な集団や社会的に弱い立場の人間をスケープゴートとして排除するなどして、社会的な支持や統合を目的とするといったものもある。 (wikiより転載)
そもそも人を生贄に捧げるのは、人が神に最高の重要な品だからです。人を殺すのは残酷だからヤギにしようって言ったのはキリスト教ですね。人類史において生贄の歴史はたくさんありますが、何なら残酷で、何ならいいってことはないと思います。もちろん法治国家として重要だから人を捧げよう!とはなりませんが。
日常的な「責任転嫁」にせよ、芸能界や政界における「スケープゴート」にせよ、人は直接的に死なずとも社会的に死ぬあるいは決して少なくないダメージを負うでしょうし、結果追い込まれて人が死んでしまうしまうかも知れません。
非科学的とは言え国のため、人のためを願った古代の儀式ではなく、現代人としての知識・常識を有した上で一個人や一グループのために他者を生贄として利用することこそが本当に非人道的なことではないでしょうか? 今回の大きな考古学的発見が、単なる知的好奇心を充足するだけではなく、現代版の生贄儀礼に目を向けてみる契機となれば幸いです。
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