
今回の舞台はグアテマラ南部、ソロラ県にあるアティトラン湖です。
8万4千年前の火山の噴火によってできたカルデラ湖です。
上に挙げた写真にも一部見えていますが、周囲は3つの火山に囲まれています。
グアテマラも観光業に力を入れていて、『アティトラン湖は世界一美しい湖』と称しています。
誰か有名な人物のセリフかと思いきや、勝手に命名したようで、言ったもん勝ちですね( -д-)ノ
↑外国人観光客はどこでも飛び込むのが好きだと思う( -д-)ノ(「Ready Set PTO」の記事内画像より転載;英文)
↑のどかなとこですよ(・∀・)つ(「Bi」のホームページ画像より転載)
上に挙げた写真でも少し分かるように、けっこう透明度あって綺麗な湖です。
とは言ってもむちゃくちゃ透明度が高いわけではありません。
その代わり魚やエビなど多数の生物が生息していて、古代から現代に至るまで人々の生活を支えてきました。
この辺りは現在でも現代マヤ人が住んでいて、民芸品などのお土産が多数売られています(*・ω・)ノ
↑グアテマラの新聞に掲載されたサマバフ(「puebloclick」の記事内画像より転載;スペイン語)
湖底遺跡サマバフはグアテマラシティに住む、ロベルト・サマヨア・アスマスが1996年に潜水した際に発見されました。
この発見者の苗字の半分である「サマ」とマヤ語で石を意味する「アバフ」を繋げて、サマバフ遺跡と命名されました。
上に挙げた写真のように、グアテマラの新聞では大発見として取り上げられ、ナショナルジオグラフィックにも取り上げられました。
しかしながら水中遺跡公園としてはまだ整備が進んでいません。
↑湖底にしっかりとラインを引いて、グリッドを設定している。手前は土器の口縁部(「Pinterest」の画像より転載)
↑サマバフの考古学調査で作成された測量図(Samoyoa 2000)
↑分かりやすい沈降の図(「Guatemala.com」の記事内画像より転載)
ナショナルジオグラフィックが助成しただけあって、グアテマラの技術とは思えないほどしっかりと水中考古学調査が行われました。
上に挙げた写真に見られるような、きっちりとしたグリッド作成なんて本当にすごいことです。
ちなみに私の知っている現地考古学者は地上でもこんなにしっかりやりません( -д-)ノ
資金力は偉大なり( ・Д・)
↑恐らく四脚の付いた碗の底部が見えている(「Facebook」のAmigo Atitlanの画像より転載)
小さな島の上にあったサマバフは、450×350mの面積で、湖周辺に居住するマヤ人達にとっての巡礼センターだったと推定されています。
しかしサマバフはおよそ1,700年前に突如として湖底に沈んだと考えられています。
遺跡は現在水深30m付近で水没しており、湖がそこまで上昇した原因については現在までに3つの説があります。
第1の説では、アティトラン火山の溶岩流が湖に流れ込んだために水位が上がったとされています。
この場合、地質学的データによると2000年前に溶岩が流れ込んで、サマバフは沈んだことになります。
もう一つの可能性としては、アティトラン湖が8万年前に巨大な噴火を起こして出来た火山性カルデラであることから、1700年前頃に溶岩の影響で湖底が膨張したことで、湖の水位が上昇したと考えられます。
第3の説では、極端な雨で大洪水が発生し、周囲を火山と断崖に囲まれた地形のアティトラン湖の水位が上がってしまったことが示唆されています。
本格的な調査は2008年から開始され、祭壇やステラ(石碑)など18基の石彫が確認されました。
上に挙げた測量図にもあったように多くの住居の他、蒸し風呂(サウナの一種)も確認されました。
最近の調査では、島の周りに4つの石を積み上げて造った埠頭があり、船の乗り降りができる場所も整備されていたことが分かっています。
↑切り石の石列②(「Prensa Libre」の記事内画像より転載;スペイン語)