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あるけまや -考古学・歴史ニュース-

「考古学」を中心に考古学・歴史に関するニュースをお届け! 世界には様々な発見や不思議があるものです。ちょっとした身の回りのモノにも歴史があり、「らーめん」すらも考古学できるってことを、他の考古学・歴史ニュースと共にお伝えします!(。・ω・)ノ゙

タグ:土偶

2020ねん 11がつ 5にち(もくよーび、くもり)

そろそろ初雪かな!ヾ(´ω`=´ω`)ノ


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↑コップのふちにハートちゃん(*・ω・)ノ(「LINE」の通販ページより画像を転載:現在ページアクセス不可)



今回の考古学・歴史ニュースは「新潟県内最大のハート形土偶が見つかった!( ・Д・)ってお話です(*・ω・)ノ


さて、みんな大好き「最大」の遺物の発見です。

今回のケースでは「県内」という条件付きで「最大」サイズのハート形土偶が出土したってニュースになっていました( -д-)ノ

……まぁインパクト大事ですから、「最大」とか「最古」とか使いたい気持ちはわかります(*^・ェ・)ノ


さて、今回の舞台は新潟県、阿賀野市にある発土橋遺跡です。

ここでは縄文後期(約4000~3500年前)に帰属する大規模な環状集落が発見されています。




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上に挙げた図で分かるように、集落内は役割ごとに明確に場所が分けられていると推測されています。

遺跡全体はドーナツ型の環状集落で、中央部には住居の炉跡や石を規則的に配置した配石遺構が確認されています。

これは「マツリ・生活の場」で直径約6mの範囲につくられた大型の配石遺構は人々が祈りをささげる神聖な場所だったと考えられています。

西側は20基以上の墓と思われる遺物・遺構が確認され「葬送の場」だったようです。

こうした集落内が機能によって空間的にしっかり区分されているケースは新潟県内の縄文後期に属する低地遺跡では珍しいそうです。


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今回はこのドーナツ状集落内の「モノ送りの場」から県内最大となるハート形土偶の頭部が見つかりました。

ちなみにこの頭部は長軸が8.5cmあります。

このハート形土偶頭部は地元産ではない粘土で作られていることから、他地域から搬入されたもの、つまり他地域との交流を裏付ける証拠となります。

ただしこの土偶を製作するために使われた粘土がどこのものなのかは分かっていません。

こうしたハート形土偶は縄文後期前半の関東地方で多く作られていたと考えられており、新潟県内でも数点出土例が確認されています。

今回の出土品は県内の先行事例のいずれのものよりも形や粘土の質がよく、優良品といえるようです。


またこの遺跡周辺で採れる天然アスファルト塊が多数出土しています。

天然アスファルトは矢じりの固定や土器の補修に欠かせない生活必需品で、交易品として非常に重要でした。

更に糸魚川市産とみられる蛇紋岩の磨製石斧も出土しています。

こうした搬入品や交易必需品の出土量の多さ、そして今回の発見の目玉である最大サイズの精巧なハート形土偶の存在から、発土橋遺跡は地域の拠点的集落であったと推測されていますヽ(・ε・)人(・ε・)ノ ナカマ



上に挙げた写真は群馬県、郷原遺跡で出土したとっても有名なハート形土偶です。

今回発見されたハート形土偶の頭部はこれによく似ています。

これまで新潟県内最大だったハート型土偶頭部は村上市の元屋敷遺跡から出土したもので長軸が7.1cmです。

今回は1.4cm大きい8.5cmです。

上に挙げた有名なハート形土偶の全長は30.5cmなので、頭部だけだと今回の発見のものの方が大きいように思えますね(*・ω・)ノ


↓「何故、土偶はバラバラで見つかることが多いの?」について書いた記事(*^・ェ・)ノ



↑こんなこともありましたね(。・ω・)ノ゙


おわりに

今回の記事は至って単純なニュースになるかなと思いきや、それなりの文量になりました。


正直私、土偶って「一点もののイメージ」があったのですが、類似の土偶って多数出ているものなのですね~。


論文中だと全体の分かる「イイモノ」しか載ってないことが多いので、そんなイメージでした。


なので個人的には目から鱗なニュースでしたΣ(・ω・ノ)ノ



いや、何はともあれ……


私も「最大」サイズの何かを見つけたい!( ・Д・)



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2020ねん 8がつ 11にち(かよーび、曇り)

一歩ずつ進むのだ!( ・Д・)


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今回の考古学・歴史ニュースは「日本最古の土偶の事例を紹介するよ!( ・Д・)」ってお話です(*・ω・)ノ


『最古の~』ってのは話題になりやすいので、遺物の素材ごとに、あるいは地域を細分して、色々な最古があるわけです。

例えば同じ「最古の土偶」でも、「北海道最古」とか、「ヨーロッパ南部最古」とか色々パターンはあるわけです( -д-)ノ


今回ご紹介するのは純粋に日本における最古の土偶の事例です。

両者共に縄文時代草創期の事例で1万3000~1万1000年前頃の遺物と推定されています。







三重県、粥見井尻遺跡の事例

粥見井尻(かゆみいじり)遺跡は、三重県松阪市飯南町粥見字井尻で現在は「粥見井尻遺跡公園」として一般公開されています。

この遺跡では1996年に国道のバイパス工事に伴う緊急発掘が実施され、その際に一番最初の写真やこの直上に挙げた写真の2点の土偶が出土しました。

この遺跡は縄文時代草創期(1万3000~9000年前)の集落遺跡であり、これらの日本最古級の土偶の他、竪穴住居4基、無文土器片資料群、石器製作址が見つかっています。



一番上に挙げた写真だとこの粥見井尻遺跡で出た2点の最古級土偶が映っているのですが、左側のやけに小さいものは『土偶の頭部』です。

この上に挙げた全体が分かる資料(所謂、粥見井尻土偶)であっても、長軸7cm、短軸4cm程度なのでかなり小さいです。

前回紹介した中国の最古の彫像もめちゃくちゃ小さかったので、人類の最初期のフィギュアはミニチュアばかりだったのかも知れませんね( -д-)ノ




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↑日本最古の土偶!ヾ(´ω`=´ω`)ノ(「Twitter」”古墳紹介bot”さんの投稿画像より転載)



滋賀県、相谷熊原遺跡の事例

こちらは滋賀県、東近江市に所在する相谷熊原(あいだにくまはら)遺跡で出土した土偶です。

この遺跡からは5基の竪穴住居址が検出されており、間違いなく縄文時代草創期に帰属する日本最古級の土偶(通称、相谷土偶)として知られています。

サイズは長軸3.1cmとやはり小さいですね。

頭部や手足の造形はありませんが、乳房やくびれなど女性らしさは十分に表現されているとの評価です。

やはり世界的にみて、地母神だとか、母なる大地、母なる海、母なる地球とか場合によって様々な表現がありますが、新たな生命を生み出す女性を神聖視する意識は初期人類にとって共通のようですね(*・ω・)ノ




おわりに

やはり『最古』ってサイコーなわけですが(=゚ω゚)人(゚ω゚=)ぃょぅ!

考古好き、歴史好きの皆さんは、古さだけに囚われず、

とある現象がなんで広く共通するのだろう?とか

この先、どうやって変化していくのだろう?とか

時間と空間の変化に思いをはせて欲しいなと思います!( ・Д・)

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2020ねん 3がつ 8にち(にちよーび、曇り)

仕事が終わらない( ・Д・)

コロナ騒ぎで帰りの便が変更になった( ・Д・)


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arukemaya808


今回は考古学・歴史ニュースではないですね。

「ティカル遺跡、観光エリア(考古学遺跡エリア)でジャガーの子供が歩いているところを観光客に激写されたよ!」ってお話です(*・ω・)ノ

一番最後にどれだけジャガーとの遭遇確率が低いか所見を述べますね(下部には可愛いジャガーの赤ちゃんの写真もあります(=゚ω゚)人(゚ω゚=)ぃょぅ!)。

マヤ文明と言えば、『羽毛の生えた蛇』の神様である『ククルカン』が有名でしょうか。

別名の『ケツァル・コアトル』の方が有名かも知れませんね。

『グクマッツ』とも言いますけど、これは普通の人は知らない呼称でしょう( -д-)ノ

ククルカンとグクマッツはマヤ語表記です(グクマッツはマヤ神話「ポポル・ブフ」に出てくる表現)。

有名な『ケツァルコアトル』はアステカ文明のナワトル語表記です。

この羽毛の生えた蛇は創造神であり、人類に文明を与えた神でもあります。

またディズニーシ―の『クリスタルスカルの宮殿』で見ることができます(*・ω・)ノ




マヤ神話ではこの羽毛の生えた蛇が最も有名ですが、古代マヤ人の信仰は日本と同じ多神教的な性格を有するため、実際には様々な神様がいます。

その内のひとつが『ジャガーの神』です。

マヤ神話で最も取り上げられる『双子の英雄神話』に出てくるイシュバランケーが『ジャガー神』の人間の姿と考えられています。

中米最大の肉食獣であるジャガーは夜の王でもあり、古代マヤの人々にとって畏怖の対象でした。

そんなジャガーの子供がティカルの観光客用の普通の散策路を歩いていたようで、観光客によって写真を撮られました。

それが最初に挙げた写真になります。




残りの2枚の写真は動物園で撮られたものですが、可愛いですよね。

ネコそのものですカワ(・∀・)イイ!!


ティカルにおけるジャガーとの遭遇率

さて、私の経験からジャガーに遭える確率を紹介したいと思います。

私はティカルを最も多く訪れたことのある日本人で間違いないと思います。

勤務期間は2年でしたので、バケーションや休日を除くと500回は訪れています。

その後の発掘調査プロジェクトの期間を含めるともう少し増えるでしょうけど、キリよく500回にしておきましょう!( -д-)ノ

さて、2年間ほぼ毎日(平日のみである)ティカルに通っていて、500回もティカル中を練り歩いて、私がジャガーに遭遇した回数は・・・・・・



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・・・・・・



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1回です!( ・Д・)


たったの1回なのです。

というのも、ジャガーは夜行性ですから、私の勤務時間とは活動時間が合いません。

ティカルやワシャクトゥン(ティカルの北方23kmに位置する遺跡で、ティカル国立公園内にある遺跡&集落)に仕事関係で宿泊したことは数度しかありません。

とは言っても夜間にジャングルを出歩くのは危険すぎて無理です。

本当に真っ暗闇で道も見えません。

どこまでが道でどこまでが樹々の壁なのか判断付きません。

また樹々の背が高く、見上げても星も月もほぼ見えません。

なので普通にティカルを訪れるとジャガーを見る確率は1/500程度しかありません。

たった0.2%です。

そのためジャガーとの遭遇確率を上げるためには、ティカル内のホテルやキャンプを利用して一泊することですね。

夜間は危険ですし、そもそも暗くて見えません。

なので早朝と夕方に散策するのが良いでしょう。

ちなみに4号神殿から朝日を見るツアーもありますが、有料です。

なので夕方から閉園まで頑張って練り歩き、キャンプして朝方キャンプ傍や自然林散策コースを散歩するのが最も安上がりです。

ただ何かあったら困るので単独行動は避けてくださいね!

ディズニーランドのジャングルクルーズのセリフにあるように、

最も怖いのは文明社会・人間です( ・Д・)

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2018ねん 7がつ 26にち(もくよーび、晴れ)

天気いいね!暑い割に最近元気!

食欲はもっぱら冷たい麺類だけども!

あ、たくさんあったはずのそーめんを食べ切った!( ・Д・)

よし、次はひやむぎだぁ~!!!( -д-)ノ


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  1. 秦野市菩提で発見された重要文化財クラスの土偶
  2. 神奈川県で見られる3つの事例
  3. 土偶とバラバラ殺人的神話
  4. おわりに

1.秦野市菩提で発見された重要文化財クラスの土偶

今回紹介するのは、神奈川県、秦野市菩提(はだのし ぼだい)にある菩提横手遺跡から出土した土偶です。帰属年代は縄文時代後期と推測されています。

新東名高速道路建設に伴う発掘調査によって、約3500年前に相当する縄文時代後期の住居址の覆土からこの土偶が出土しました。

この土偶は、頭部から胴体と腰、脚のそれぞれの部分がやや離れた場所で出土しました。左腕部と左脚部の一部が失われていましたが、全体の形状が分かる形に復元することができました。

復元された土偶は全高約25cm、最大幅は推定約12cmです。胴部と脚部の中が空洞で、浮文と沈線文、縄文による装飾が見られます。

さて、何故この土偶が国指定の重要文化財クラスとされるような高い評価を受けたのでしょうか?理由は大きく以下の3点です。

  1. 大型で自立する形態であること
  2. 内部が空洞の中空土偶であること
  3. ほぼ完形品であること
こういった事例は神奈川県内では3例目なのですが、各パーツを接合することでほぼ完全な姿まで復元できたのはこの一例だけなのです。完形資料であることが最も重要な要件なのです!(*・ω・)ノ


2.神奈川県で見られる3つの事例
神奈川の中空土偶
↑神奈川県出土の大型自立中空土偶群(a: 秦野市 菩提横手遺跡出土、b:綾瀬市 上土棚南遺跡出土、c:平塚市 王子ノ台遺跡出土; 管理人theDANGOsan作成)

上の3例が神奈川県で出土した大型で自立する中空土偶になります。内部が空洞になっているのが「中空土偶」で、土偶は人や精霊を模したと考えられる縄文時代の土製品で、祭祀や呪術に用いられたと推定されています。

今回出土した中空土偶(a)は筒形の胴部に怒り肩、外向きに腕が付き、乳房を表現したと考えられる2つのこぶがあります。乳房の表現は他の2例(b,c)にも共通することが見て取れると思います。

怒り肩で外向きに腕が付くという腕の形態や全体性として、aとbは類似性が強く感じられますね。一方でcは作りが特異ですね。またcでは両脚が失われているのに「自立する土偶」という判定がよく分かりませんが、きっと割れ口に大型の脚が付いていた痕跡が認められるのでしょう。あるいはこの時期の大型土偶は全て自立できるくらい脚が大型である特徴を有するのでしょう。


3.土偶とバラバラ殺人的神話

さて、今回出土した土偶ってバラバラの破片をくっつけたわけですが、土偶って多くの場合、バラバラに出土する傾向があります。

山梨県釈迦堂遺跡で出土した縄文中期の土偶片は1000点以上になりますし、岩手県立石遺跡の土偶も188点の破片として出土しています(個体数は分かりません!きっとたくさん!( -д-)ノ)。

長野県茅野市の中ッ原遺跡では完形土偶も出土していますが、基本的に土偶の多くは壊れた状態で出土しており、わざと壊すことで災厄を土偶に転嫁するような儀礼的行為の結果だと考えられています。

つまり一説として土偶は魔除けの儀礼として意図的に破壊された可能性があるわけです。一方で他の説として、食物の起源と豊穣の神話に由来する儀礼行為という解釈があります。

日本には古事記、日本書紀において食物の起源に関する神話が記載されています。ここで紹介するのは古事記の記述です。


古事記においては、岩戸隠れの後に高天原を追放された速須佐之男命(スサノオノミコト)が、食物神である大気都比売神(オオゲツヒメノカミ)に食物を求めた話があります。


大気都比売は、鼻や口、尻から様々な食材を取り出して調理して須佐之男命に差し出したそうです。しかし、その様子を覗き見た須佐之男命は食物を汚して差し出したと思って、大気都比売を殺してしまいます。


結果、大気都比売の屍体から様々な食物の種などが生まれ、頭に蚕、目に稲、耳に粟、鼻に小豆、陰部に麦、尻に大豆が生じました。神皇産霊尊(カミムスビ)はこれらを取って五穀の種としたそうです(wikiより参考・引用)。


以上がハイヌウェレ型神話に分類される日本の食物起源神話のひとつなのです。ハイヌウェレ型神話とは、世界各地に見られる食物起源に関する神話の一型式ので、殺された神の死体から作物が生まれたとするものです。

オリジナルのヴェマーレ族のハイヌウェレの神話では、ココヤシの花から生まれたハイヌウェレという少女は、様々な宝物を大便として排出することができました。

あるとき、踊りを舞いながらその宝物を村人に配ったところ、村人たちは気味悪がって彼女を生き埋めにして殺してしまいます。ハイヌウェレの父親は、掘り出した死体を切り刻んであちこちに埋めると、彼女の死体からは様々な種類の芋が発生し、人々の主食となったという神話です。

この女神を殺してバラバラにすることが食物の起源となるタイプの神話は世界各地に見られ、日本で土偶がバラバラで見つかることも、このタイプの神話に由来した豊穣を願う行為の現れなのかも知れませんね。


4.おわりに

ちょいと話は変わって、今回発見された土偶って斜め上を向いていますよね。土偶って世界的にやや上向きである傾向も見られるのです。

古来より月には神秘的なパワーが宿ると考えられていたようで、そうした「月の雫」を飲み込むために土偶は上向きに作られているとする説もあるのです。

考古学的な現象や神話体系が世界各地で似通っている事例ってけっこうあるのですが、面白いなぁと思います。現在世界は細やかに分裂し対立し合っていますが、やはり人間ってなんだかんだ似たようなことを考えるものなのかも知れませんね。人類皆兄弟!?……仲良くいきたいものです( -д-)ノ


↓押す度に、バラバラだった考古・歴史好きな人の魂が集まっていく……はずです( -д-)ノ↓

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