2019ねん 6がつ 7にち(きんよーび、曇り)

あと一週間程度で40連勤が終わる。

久しぶりに休みの一日が来る。

私は一日中研究に打ち込むことができるのだろうか!?( ・Д・)

まぁブログ2時間、研究3時間、残り時間寝る&ゴロゴロするが妥当であろう!( -д-)ノ


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今回の考古学・歴史ニュースは、「昔、土器を作っていたのは男性だったのか?女性だったのか?」というお話です(*・ω・)ノ

考古学では一般的には「土器作りは女性の仕事」と想定しています。

何故かというと、第一に、実際に土器を作った人が誰だったかは分からないと言うのが前提です。

土器を観察しても通常であれば、その作り手の性別差は分かりません。

皆さんも博物館で土器を見た時、あるいは家にあるお茶碗を見て、作った人は男性だなとか女性だなとかは判別できないと思います。

まぁ家にある茶碗だと、中性だな(工業製品だな)となるかも知れませんが( -д-)ノ

第二に、人類学研究、特に「民族考古学」によって集められた現代の参与観察では、土器の作り手が女性であるケースがほとんどだからです。

土器をよく見ても分からんが、現在の土器生産を見ていると女性ばかりである、だから過去においてもきっとそう!という論理展開なわけです( -д-)ノ

第三に、男性は外で狩りを担当、女性は採集や家事を担当というイメージがあるからです。

これも実際には現在のアフリカを代表として世界中の民族事例で確認されています。

日本でも同様のイメージがあって、桃太郎でもおじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に行ってますからね、もしおじいさんが若ければ別の物を狩りに行っているでしょう!

一方で面白いことに、時代がやや新しくなり精製土器が現れると、ヨーロッパの徒弟制度のイメージから、奢侈性の高い精製土器生産は職人として男性が従事したと考える傾向にあります。

結果、土器を見てもよく分からんから、過去の歴史や近現代の民族誌情報に基づいて推定しているよということなのです( -д-)ノ


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さて、今回のニュースはナショナルジオグラフィックの記事を参考にしていますが、アメリカの古代文化である古代プエブロ文化に属する変わった土器の分析から、土器の作り手の性別について興味深い指摘がなされました。

(余談ですが、古代プエブロ文化に関する土器研究は非常に面白いことをやっているなと常々感じています、折を見て紹介しますね(・∀・)つ)

舞台はアメリカ合衆国、ニューメキシコ州北西部に位置するチャコ・キャニオンです。

今からおよそ1000年前の西暦800~1200年頃、チャコ・キャニオン一帯は文化と宗教の中心地でした。

先に説明したように、近代までのチャコ・キャニオンでは土器製作は主に女性の役割だったことから過去においても同様であると推定され、考古学者がなんとなく意識している「土器製作は女性の仕事」というお決まりのイメージがここでも与えられていました。

古代プエブロ人は、太い粘土紐を螺旋状に巻いて、土器の胴部全体を波状浮文で覆うような土器を製作していました。



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↑プエブロ文化のタイプ別の土器群(「Ancestral Pueblo Ceramic」の画像より転載;英文)



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↑波状浮文を有する器面(「Pueblo Indian History for Kids」の記事内画像より転載;英文)



個人的にはプエブロ文化の土器というと、上の1枚目の写真(左上、左下、右下)にあるような、白地のスリップ(化粧土)の上に黒色彩文による幾何学文様を有しているものになります。


しかし今回のお話に出てきている土器は右上の土器群になります。


それらの土器の器面(表面)に、先に述べた「波状浮文」があるのですが、それがよく分かる破片資料が上の2枚目の写真になります。


なんかパスタの一種のような波打った印象がありますよね(*^・ェ・)ノ


粘土紐をぐるぐるっと巻いて、一定間隔ごとにその粘土紐を指で押すことで波打たせているので、指紋ががっつり残っています、分かりますでしょうか?ヾ(´ω`=´ω`)ノ


浮文は貼付文とも言いますが、指で押すことで波打たせたり、指紋も文様のように利用したりしつつ、しっかりと粘土紐と土器を貼り付けているわけですね。


日本や他の国の、他の文化の土器でも稀に指紋が残ることがあります。

しかし多くの場合、器面を円滑に調整する際に指紋の痕跡は消えてしまいます。

そのため、これだけ1個体の土器に多数の指紋が残されているケースは稀なのです(。・ω・)ノ゙

そこでなんと、古代プエブロ文化の研究者の一人が「元警察官」で、男女の指紋の違いは法科学捜査で分かるということを利用しました。

考古学者はよく探偵、鑑識や法科学者に例えられますが、これほどマッチした事例はないでしょうね(=゚ω゚)人(゚ω゚=)ぃょぅ!


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↑土器の施文部に残るヒトの指紋②(「NACIONAL GEOGRAPHIC」の記事内画像より転載;credit: John Kantner)



海外ドラマで「CSI:科学捜査班」とか流行っていましたけど、犯罪に関する科学捜査では指紋の隆線が男性の場合は女性よりも9%太いという研究結果があるそうです。


これを参考に、チャコ・キャニオンのブルーJというエリアで出土した985点の土器破片資料を分析したところ、47%の資料に残されていた指紋の隆線の幅が、平均して0.53mmで男性のもの、40%が平均して0.41mmで女性または子どものものと判定されました。


また残りの13%は中間的で性別不明とされました。


さて、指紋を分析した土器資料をを時期ごとに分けて考えると、より古い年代の土器群に残されていた指紋は66%が男性のもので、新しい土器群には男性と女性の指紋がほぼ半分ずつ残されていたことが分かりました。


以上のことから、かつて男性も土器作りに関わっていただけでなく、男性と女性の割合は時代とともに変化したことがわかるとの結論のようですが、まぁ当たり前っちゃ当たり前な感じもします。


100%な分業制って考えにくいですからね( -д-)ノ


課題は多いと思いますが、古代の土器生産体制の一端を明らかにする上で非常に興味深いなと感じました(=゚ω゚)人(゚ω゚=)ぃょぅ!




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本当に面白い研究だと思いますが、分析結果としてけっこう性別不明がいるようですね。


現代の男女に土器を同じように作ってもらって、実験考古学として統計を出すと尚、同定精度が上がるかも知れませんね。


その際には粘土紐に対してどの指をどのように押し付けたかという施文技術を復元してから行うのが良いでしょう。


それによって指紋の付き具合に影響があるかも知れませんからね。


それ以前に土器の在地製作品・搬入品の判定、個体数推定などもやらなきゃか……


でも面白そうですね、自分でやりたいくらいですヽ(TдT)ノ

↓古代プエブロ人もあんなに押してるんだから、↓
↓あなたがーたも、たまには押してくれてもいいのでは!?( ・Д・)↓