↑プエブロ文化のタイプ別の土器群(「Ancestral Pueblo Ceramic」の画像より転載;英文)
↑波状浮文を有する器面(「Pueblo Indian History for Kids」の記事内画像より転載;英文)
個人的にはプエブロ文化の土器というと、上の1枚目の写真(左上、左下、右下)にあるような、白地のスリップ(化粧土)の上に黒色彩文による幾何学文様を有しているものになります。
しかし今回のお話に出てきている土器は右上の土器群になります。
それらの土器の器面(表面)に、先に述べた「波状浮文」があるのですが、それがよく分かる破片資料が上の2枚目の写真になります。
なんかパスタの一種のような波打った印象がありますよね(*^・ェ・)ノ
粘土紐をぐるぐるっと巻いて、一定間隔ごとにその粘土紐を指で押すことで波打たせているので、指紋ががっつり残っています、分かりますでしょうか?ヾ(´ω`=´ω`)ノ
浮文は貼付文とも言いますが、指で押すことで波打たせたり、指紋も文様のように利用したりしつつ、しっかりと粘土紐と土器を貼り付けているわけですね。
↑土器の施文部に残るヒトの指紋②(「NACIONAL GEOGRAPHIC」の記事内画像より転載;credit: John Kantner)
海外ドラマで「CSI:科学捜査班」とか流行っていましたけど、犯罪に関する科学捜査では指紋の隆線が男性の場合は女性よりも9%太いという研究結果があるそうです。
これを参考に、チャコ・キャニオンのブルーJというエリアで出土した985点の土器破片資料を分析したところ、47%の資料に残されていた指紋の隆線の幅が、平均して0.53mmで男性のもの、40%が平均して0.41mmで女性または子どものものと判定されました。
また残りの13%は中間的で性別不明とされました。
さて、指紋を分析した土器資料をを時期ごとに分けて考えると、より古い年代の土器群に残されていた指紋は66%が男性のもので、新しい土器群には男性と女性の指紋がほぼ半分ずつ残されていたことが分かりました。
以上のことから、かつて男性も土器作りに関わっていただけでなく、男性と女性の割合は時代とともに変化したことがわかるとの結論のようですが、まぁ当たり前っちゃ当たり前な感じもします。
100%な分業制って考えにくいですからね( -д-)ノ
課題は多いと思いますが、古代の土器生産体制の一端を明らかにする上で非常に興味深いなと感じました(=゚ω゚)人(゚ω゚=)ぃょぅ!

↑ニューメキシコ州に所在するアパートメント式住居の残る遺跡(「NACIONAL GEOGRAPHIC」の記事内画像より転載;credit: Phil Schermeister, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
本当に面白い研究だと思いますが、分析結果としてけっこう性別不明がいるようですね。
現代の男女に土器を同じように作ってもらって、実験考古学として統計を出すと尚、同定精度が上がるかも知れませんね。
その際には粘土紐に対してどの指をどのように押し付けたかという施文技術を復元してから行うのが良いでしょう。
それによって指紋の付き具合に影響があるかも知れませんからね。
それ以前に土器の在地製作品・搬入品の判定、個体数推定などもやらなきゃか……