今回の考古学・歴史ニュースは
「約130年前に富山で見つかった隕鉄から、本当に日本刀『流星刀』を作った人がいる!ぼくのかんがえたさいきょうの『星のうんこ剣』も見て!( ・Д・)」
ってお話です(*・ω・)ノ
☄️ 約130年前、「宇宙の鉄」から本当に日本刀を作った
富山県で見つかった隕石から作られた日本刀「流星刀」が改めて話題になっている。
もう名前からして強い。
流星刀。
ゲームで入手したら終盤まで使えそうな名前である!( ・Д・)
ただし、最初に一つだけ修正しておこう。
「約130年前に富山へ流れ星が落ち、その直後に拾われた」ということが確認されているわけではない。
材料となった「白萩隕鉄第1号」が発見されたのが1890年頃なのであって、実際に地球へ落下した時期は分かっていない。発見場所も現在の富山県上市町、上市川ダムより上流と考えられているものの、正確な地点までは不明である。重さは約22キログラム、U字形をした鉄隕石だった。
当初は大阪造幣局へ持ち込まれたものの、ただの鉄塊と判断され、本格的な分析はされなかった。
ところが1895年、農商務省地質調査所で改めて調べると、鉄隕石特有のウィドマンシュテッテン構造が確認された。
こうして、
「そのへんにあった変な鉄の塊」
から、
「宇宙からやって来た白萩隕鉄」
へ昇格したのである。
ちなみに現在の分類ではIVA型のオクタヘドライトとされている。
つまり「流れ星を刀にした」という表現はロマンとしては大正解なのだけれど、科学的には、大気中で一瞬光る流星そのものを捕まえたわけではなく、燃え尽きずに地上まで到達した鉄隕石を鍛えた刀なのである。
↑美しいなぁ!( ・Д・)(「wikipedia」の画像より転載)
⚔️ 榎本武揚「ロシア皇帝が隕石剣を持ってる? じゃあ日本刀を作ろう」
この妙な計画を始めた人物が、榎本武揚だった。
幕末には幕府海軍を率いて箱館戦争を戦い、その後は明治政府で外交官や大臣を務めた人物だが、同時に科学技術、とくに鉱物学や製鉄にも強い関心を持っていた。
榎本はロシア滞在中、ツァールスコエ・セロー宮殿でロシア皇帝が所有していた隕鉄製の刀剣を目にし、自分でも隕石から刀を作りたいと考えたと伝えられている。
そして1895年。
白萩隕鉄が本物の隕石だと分かると、榎本はこれを購入。
刀工・岡吉国宗に渡して、
「これで日本刀を作ってくれ」
という、とんでもない注文をした。
しかし隕鉄は、そのまま日本刀へ加工するには扱いにくかった。
そこで試行錯誤しながら日本の鋼と組み合わせ、最終的に1898年、長刀2振、短刀3振の計5振が完成した。
榎本はこれを「流星刀」と命名した。
刀身には普通の日本刀とは違う、木目やまだら模様のような独特の肌が現れる。
今回のニュースでも富山市科学博物館の流星刀について、その模様と「星鉄」の銘が特徴として紹介された。
なお、これは「100%宇宙の鉄だけで作った剣」ではない。
隕鉄と地球上の鋼を組み合わせて鍛えた日本刀である。
でも、
地球ができる以前から太陽系を漂っていた金属を、
明治の日本人が火に入れ、
叩き、
折り返し、
日本刀へ変えた。
と考えれば、十分すぎるほどロマンがある。
🌠 5振しかない「流星刀」は、科学実験でもあった
完成した5振のうち、長刀1振は当時の皇太子、後の大正天皇へ献上された。
もう1振の長刀は現在、東京農業大学に保管されている。
短刀では富山市科学博物館が1振を所蔵し、別の1振は榎本家ゆかりの小樽・龍宮神社へ奉納されている。
そして榎本は「珍しい刀できた! やったー!」で終わらなかった。
1898年12月には「流星刀記事」をまとめ、隕石の意味、日本国内外の隕石、白萩隕鉄の分析、そして隕鉄を刀へ加工した経緯まで記録した。
榎本にとって流星刀は、工芸品や珍品というだけでなく、
「宇宙から来た未知の鉄を、日本の製鉄技術でどう扱えるのか?」
という科学・技術上の実験でもあったのである。
実際、残された白萩隕鉄そのものも国立科学博物館で保管・展示されている。
宇宙物質、明治の科学史、日本刀製作史。
この三つが一個の物に集約されている点が、流星刀のおもしろさなのだ。
……ということで流星刀の話はここまで!
ちゃんとカッコいい話だった。
でもですね。
私はさらに強そうな名前の石器産地を知っているのですよ。
↑こう見ると確かに文様が特殊だね!( ・Д・)(「竜宮神社」の画像より転載)
💩 長野県には本当に「星糞峠」という場所がある
場所は長野県小県郡長和町。
霧ヶ峰高原の北東部に、
「星糞峠」
という、信じられないくらい良い名前の峠がある。
読み方はもちろん、
「ほしくそとうげ」。
そしてこの名前の「星糞」は、少なくとも江戸時代には黒曜石を指す言葉の一つとして知られていた。地元には、地面いっぱいに散らばるキラキラした黒曜石を「空から落ちてきた星のかけら」と考えたという伝承も残っている。
つまり現代語の勢いだけで訳すなら、
星糞
↓
星のうんこ
↓
黒曜石
である。
ならば黒曜石で刃物を作れば、
「星のうんこ剣」
が完成するじゃないですか!( ・Д・)
……とはいえ、ここには少しだけ真面目な注釈が必要である。
昔の「糞」という字には、現在の排泄物だけでなく、掃き散らされたもの、屑のようなニュアンスもあったという説明がある。また江戸期の辞書では「星糞」を石の名称として扱い、隕石を指す用例もあったらしい。
そして地元の黒耀石体験ミュージアム自身も、語源について完全に分かったわけではないとしている。
だから、
「縄文人が黒曜石を星のウンコと呼んでいた」
と書くのはダメ。
縄文人が何と呼んでいたかは分からない。
歴史的に確認できるのは、後世に黒曜石を「星糞」と呼ぶ言葉が存在し、星のかけらが降ったという伝承が生まれていたというところまでである。
でも「星のうんこ剣」というネタは捨てない!( ・Д・)
↑やぱマヤの黒曜石は一番だぜ!さすがずっと石器時代なだけある……( ・Д・)
⛏️ しかも星糞峠、ふざけた名前なのに中身はガチの縄文鉱山
名前だけ聞くと珍地名で終わりそうだが、考古学的には相当すごい場所である。
正式名称は、
「星糞峠黒曜石原産地遺跡」。
2001年に国史跡へ指定された。
この周辺の黒曜石は約87万年前の火山活動によって形成されたと考えられている。
旧石器時代になると、人々は麓の川などで黒曜石を集め、約3万年前から石器材料として盛んに利用した。
そして縄文時代になると、地表で拾うだけではなく、ついに山を掘り始める。
星糞峠から虫倉山にかけて、現在確認されている採掘跡は195基。
範囲は約6.6ヘクタール。
地表には直径10メートル前後のクレーター状の窪みが並び、その下には直径数メートル、深さ数メートルに達する採掘坑が複雑に重なっている。
要するにここは、
「縄文人がたまたま黒曜石を拾った場所」
ではない。
本格的な鉱山である。
発掘では木製の掘り棒や土砂崩れを防ぐ施設まで確認されており、何度も同じ場所を掘り返しながら原石を採取していたことが分かっている。
しかも黒曜石はここだけで消費されたわけではない。
霧ヶ峰・和田峠周辺産の良質な黒曜石は、中部・関東を中心に、さらに遠方まで流通した。
現在では黒曜石に含まれる微量元素などを比較することで、
「この遺跡の石器は、どこの山から来た石なのか」
まで産地推定できる。
つまり星糞峠は、
縄文時代の採掘、
加工、
搬出、
交換、
地域間ネットワーク
を丸ごと研究できる巨大な資源供給拠点なのである。
名前は星のうんこなのに!( ・Д・)
↑物理系ならこれ強そうだよね、これでFEの流星剣使えば確殺だよ!( ・Д・)
🗡️ では「星のうんこ剣」は、本当に最強なのか?
黒曜石は火山ガラスである。
割れると非常に鋭い縁ができる。
そのため旧石器・縄文時代には、槍先、鏃、ナイフなど非常に優秀な石器材料として使われた。
星糞峠の麓でも旧石器時代の石槍が見つかっており、この地域から得た黒曜石が遠方へ持ち運ばれていた。
だから、
星糞峠産黒曜石を大量に持ってきて、
巨大な剣を作る。
名付けて、
「星のうんこ剣」。
流星刀に勝った!( ・Д・)
……とはならない。
黒曜石は鋭い一方で脆い。
長い日本刀のような形にすると、曲げや衝撃に弱く、金属剣のようにガンガン打ち合う武器には向いていない。
だから実際の石器では、小さな刃や尖頭器としてその性質を活用する。
「最強の切れ味」と「最強の剣」は別問題なのである。
しかし考古学的には、むしろそこがおもしろい。
流星刀では、
宇宙から来た鉄
↓
明治の科学者
↓
刀工
↓
日本刀
という物質の履歴がある。
星糞峠では、
火山活動で生まれた黒曜石
↓
数十万年後に地表へ現れる
↓
旧石器人が拾う
↓
縄文人が山を掘る
↓
石器へ加工する
↓
数百キロ離れた集落まで運ばれる
という、とんでもなく長い履歴がある。
流星刀は「宇宙の物質を人間が刀に変えた物語」。
星糞峠は「地球が生んだガラスを、人間が何万年も追い続けた物語」。
方向性は違うけれど、どちらも素材の由来まで知ると急にカッコよくなる。
ということで、
流星刀 vs 星のうんこ剣、
私は後者を推したい!( ・Д・)
名前だけなら圧勝である。
↑魔法系ならこっちかな!( ・Д・)
🌽 おわりに――いや、やっぱりマヤのエキセントリックが最強だわ
……と思ったけれど。
石器の「変なカッコよさ」で勝負するなら、最後に古代マヤを出しておきたい。
古代マヤには「エキセントリック」と呼ばれる、とんでもなく複雑な形へ打ち欠いた燧石・黒曜石製品がある。
人間の横顔。
神。
動物。
ギザギザした刃。
普通のナイフとして使うには明らかに変な形。
実用品というより、儀礼や王権と結び付いた特別な石器と考えられている。実際、古典期マヤには人間や神々の横顔を幾重にも組み合わせた30センチ級の燧石製エキセントリックまで存在する。
黒曜石製のエキセントリックも確認されている。
ということで最終結果。
流星刀。
カッコいい。
星のうんこ剣。
名前が強い。
マヤのエキセントリック。
形がおかしい。
……うん。
やっぱりマヤが最強だな!( ・Д・)
なにはともあれ……
いくつになってもうんこって言いまくると何故かテンション上がるぜ!うんこ!( ・Д・)

















































