
↑1982年、引き上げの時!( ・Д・)(「CNN co.jp」の記事内画像より転載;credit: Fox Photos/Hulton Archive/Getty Images )
📰はじめに
「沈没船」って聞くと、だいたいみんな脳内でこう変換しがちなんだよね。
沈没 = 失敗
沈没 = 終わり
沈没 = 悲劇のラストシーン
でもさ、考古学(と古人骨研究)って、そういう単純な物語を平気でひっくり返してくる。
今回の主役は、チューダー朝(ヘンリー8世の時代)の軍艦メアリー・ローズ号。1545年に沈没して、1982年に大規模に引き揚げられた、あの有名な“タイムカプセル船”だ。
で、ここからが面白い。
回収された乗組員の骨(とくに鎖骨)を「ラマン分光」という方法で調べたら、
加齢で骨の中身がどう変わるか、さらに利き手が骨の化学に影響するかもしれない、という“現代にも刺さる”話が出てきた。
要するに、
500年前の水兵たちが、いま医学の話をしてる。
このズレが最高なんだよね( ・Д・)
🧱 そもそもメアリー・ローズ号って何がヤバいの?
メアリー・ローズ号はチューダー海軍の大型軍艦のひとつで、1545年7月19日、ソレント海戦の最中に沈没したとされる。
で、沈没船は普通ボロボロになるんだけど、メアリー・ローズは条件がよかった。
海底の堆積物で覆われて酸素が少ない環境になり、遺物も人骨も保存状態がかなり良かった。引き揚げと発掘で、船体・遺物(1万9000点以上)・乗組員の人骨(少なくとも179人分)が研究できる状態で残った。
これ、歴史好きなら分かると思うけど、反則級の資料だよ。
↑分析した骨など!( ・Д・)(Shankland et al. 2024 のFig.1より転載)
🦴 今回の主役は「鎖骨」だった
今回の研究が見たのは、乗組員(男性・13〜40歳)の鎖骨(clavicle)。
鎖骨って、地味に見えて面白いパーツで、
肩と腕を体につなぐ要
成長過程の情報が出やすい
よく折れる骨として現代医学でも重要
みたいに、「生活の癖」や「負荷」が出やすい場所なんだよね。
そして使われた方法が、ラマン分光(Raman spectroscopy)。骨を大きく壊さずに、ミネラル(無機)とタンパク(有機)のバランスみたいな“骨の中身の化学”を見ていくやつ。
🧪 骨の化学は、年齢でこう変わるっぽい
結果をざっくり言うとこう。
年齢が上がるほど、骨のミネラル成分が増える
逆に、骨のタンパク成分は減る(減り方はミネラルほど大きくない)
つまり、骨は年齢とともに“硬い方向”に寄っていく感じが示された。
ここまでは、まあ「そういうこともあるかもね」で終わる。
でも次が今回の逆転ポイント。
↑こういう分析には縁があんまりないぜ!( ・Д・)(Shankland et al. 2024 のFig.2より転載)
✋ 利き手が、骨の中身を左右で変えるかもしれない
左右の鎖骨を比べると、変化が右側でより強く出ていた。
研究側のロジックはこうだ。
当時、左利きは忌避されやすく(魔女扱いとかの話も含めて)右利きが多かったはず。
だから右側の鎖骨の方が、繰り返しの作業負荷を受けやすい。
その結果、右の骨化学が“生活のクセ”をより強く反映したのかもしれない。
ここ、めちゃくちゃ良い。
利き手って「動作の癖」じゃん?
その癖が、骨の内部の化学にまで刻まれてるかもしれない。
これ、考古学者が好きなやつだよ。
生活が、身体に書き込まれるやつ。
🩺 そして現代にも刺さってしまう
この研究、過去の水兵の生活復元だけで終わらない。
論文側では、利き手の影響が本当にあるなら、骨折リスクや骨の老化関連疾患(たとえば変形性関節症など)を考える時の“現代の注意点”にもなりうる、という方向にも触れている。
もちろん、サンプルは12人規模で、これで断定はできない。
でも、沈没船の骨が「現代の骨の議論」に入り込んでくるのが、ロマン過ぎる。
沈没船って、「歴史の失敗の象徴」みたいに見えがちなんだけど、
沈没したからこそ、保存され、
保存されたからこそ、研究でき、
研究できたからこそ、500年後に新しい話が出る。
沈没は終わりじゃなくて、
研究の入口だった。
そういう逆転ネタが、いちばん気持ちいい( ・Д・)































































