2018ねん 7がつ 26にち(もくよーび、晴れ)

天気いいね!暑い割に最近元気!

食欲はもっぱら冷たい麺類だけども!

あ、たくさんあったはずのそーめんを食べ切った!( ・Д・)

よし、次はひやむぎだぁ~!!!( -д-)ノ


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  1. 秦野市菩提で発見された重要文化財クラスの土偶
  2. 神奈川県で見られる3つの事例
  3. 土偶とバラバラ殺人的神話
  4. おわりに

1.秦野市菩提で発見された重要文化財クラスの土偶

今回紹介するのは、神奈川県、秦野市菩提(はだのし ぼだい)にある菩提横手遺跡から出土した土偶です。帰属年代は縄文時代後期と推測されています。

新東名高速道路建設に伴う発掘調査によって、約3500年前に相当する縄文時代後期の住居址の覆土からこの土偶が出土しました。

この土偶は、頭部から胴体と腰、脚のそれぞれの部分がやや離れた場所で出土しました。左腕部と左脚部の一部が失われていましたが、全体の形状が分かる形に復元することができました。

復元された土偶は全高約25cm、最大幅は推定約12cmです。胴部と脚部の中が空洞で、浮文と沈線文、縄文による装飾が見られます。

さて、何故この土偶が国指定の重要文化財クラスとされるような高い評価を受けたのでしょうか?理由は大きく以下の3点です。

  1. 大型で自立する形態であること
  2. 内部が空洞の中空土偶であること
  3. ほぼ完形品であること
こういった事例は神奈川県内では3例目なのですが、各パーツを接合することでほぼ完全な姿まで復元できたのはこの一例だけなのです。完形資料であることが最も重要な要件なのです!(*・ω・)ノ


2.神奈川県で見られる3つの事例
神奈川の中空土偶
↑神奈川県出土の大型自立中空土偶群(a: 秦野市 菩提横手遺跡出土、b:綾瀬市 上土棚南遺跡出土、c:平塚市 王子ノ台遺跡出土; 管理人theDANGOsan作成)

上の3例が神奈川県で出土した大型で自立する中空土偶になります。内部が空洞になっているのが「中空土偶」で、土偶は人や精霊を模したと考えられる縄文時代の土製品で、祭祀や呪術に用いられたと推定されています。

今回出土した中空土偶(a)は筒形の胴部に怒り肩、外向きに腕が付き、乳房を表現したと考えられる2つのこぶがあります。乳房の表現は他の2例(b,c)にも共通することが見て取れると思います。

怒り肩で外向きに腕が付くという腕の形態や全体性として、aとbは類似性が強く感じられますね。一方でcは作りが特異ですね。またcでは両脚が失われているのに「自立する土偶」という判定がよく分かりませんが、きっと割れ口に大型の脚が付いていた痕跡が認められるのでしょう。あるいはこの時期の大型土偶は全て自立できるくらい脚が大型である特徴を有するのでしょう。


3.土偶とバラバラ殺人的神話

さて、今回出土した土偶ってバラバラの破片をくっつけたわけですが、土偶って多くの場合、バラバラに出土する傾向があります。

山梨県釈迦堂遺跡で出土した縄文中期の土偶片は1000点以上になりますし、岩手県立石遺跡の土偶も188点の破片として出土しています(個体数は分かりません!きっとたくさん!( -д-)ノ)。

長野県茅野市の中ッ原遺跡では完形土偶も出土していますが、基本的に土偶の多くは壊れた状態で出土しており、わざと壊すことで災厄を土偶に転嫁するような儀礼的行為の結果だと考えられています。

つまり一説として土偶は魔除けの儀礼として意図的に破壊された可能性があるわけです。一方で他の説として、食物の起源と豊穣の神話に由来する儀礼行為という解釈があります。

日本には古事記、日本書紀において食物の起源に関する神話が記載されています。ここで紹介するのは古事記の記述です。


古事記においては、岩戸隠れの後に高天原を追放された速須佐之男命(スサノオノミコト)が、食物神である大気都比売神(オオゲツヒメノカミ)に食物を求めた話があります。


大気都比売は、鼻や口、尻から様々な食材を取り出して調理して須佐之男命に差し出したそうです。しかし、その様子を覗き見た須佐之男命は食物を汚して差し出したと思って、大気都比売を殺してしまいます。


結果、大気都比売の屍体から様々な食物の種などが生まれ、頭に蚕、目に稲、耳に粟、鼻に小豆、陰部に麦、尻に大豆が生じました。神皇産霊尊(カミムスビ)はこれらを取って五穀の種としたそうです(wikiより参考・引用)。


以上がハイヌウェレ型神話に分類される日本の食物起源神話のひとつなのです。ハイヌウェレ型神話とは、世界各地に見られる食物起源に関する神話の一型式ので、殺された神の死体から作物が生まれたとするものです。

オリジナルのヴェマーレ族のハイヌウェレの神話では、ココヤシの花から生まれたハイヌウェレという少女は、様々な宝物を大便として排出することができました。

あるとき、踊りを舞いながらその宝物を村人に配ったところ、村人たちは気味悪がって彼女を生き埋めにして殺してしまいます。ハイヌウェレの父親は、掘り出した死体を切り刻んであちこちに埋めると、彼女の死体からは様々な種類の芋が発生し、人々の主食となったという神話です。

この女神を殺してバラバラにすることが食物の起源となるタイプの神話は世界各地に見られ、日本で土偶がバラバラで見つかることも、このタイプの神話に由来した豊穣を願う行為の現れなのかも知れませんね。


4.おわりに

ちょいと話は変わって、今回発見された土偶って斜め上を向いていますよね。土偶って世界的にやや上向きである傾向も見られるのです。

古来より月には神秘的なパワーが宿ると考えられていたようで、そうした「月の雫」を飲み込むために土偶は上向きに作られているとする説もあるのです。

考古学的な現象や神話体系が世界各地で似通っている事例ってけっこうあるのですが、面白いなぁと思います。現在世界は細やかに分裂し対立し合っていますが、やはり人間ってなんだかんだ似たようなことを考えるものなのかも知れませんね。人類皆兄弟!?……仲良くいきたいものです( -д-)ノ


↓押す度に、バラバラだった考古・歴史好きな人の魂が集まっていく……はずです( -д-)ノ↓