
(「石岡市定例記者会見」用のPDFの画像より転載)
📰はじめに
白久台(しらくだい)遺跡から、考古学界をざわめかせる発見がありました。縄文時代中期(およそ5,000年前)と推定される土器の破片、その底に残されたわずかな凹み──しかしその痕は、ただの傷ではありません。研究チームはそれを「縄文原体(じょうもんげんたい)」、つまり土器の文様をつけるために実際に使われた縄の形跡だと断定しました。
これが何を意味するかというと、人類学・考古学ファンだけでなく、縄文文化のロマンを追うすべての人にとって大きな意味を持つのです。なぜなら、土器に縄目模様をつける技術は縄文文化を象徴する特徴のひとつですが、実際にどんな縄が使われていたかを示す物理的な証拠は非常に希少です。今回の発見は国内でわずか3例目であり、しかも加曽利貝塚(千葉市)より古い可能性が指摘されていて、「国内最古」の縄文原体の証跡となる可能性が高いのです。
🧭 白久台遺跡とは?
茨城県石岡市所在の白久台遺跡は、縄文時代の集落として報告されており、小さな土坑や縄文土器などが出土しています。2025年2月の定例記者会見で、市教育委員会などの共同調査グループが、土器片から縄の圧痕(痕跡)を確認したことを発表しました。
🔍 “縄文原体” 圧痕の発見 — その中身
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圧痕は長さ約 50ミリ、幅 3ミリ。
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推定年代は縄文中期、約 5,000年前。
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これが意味するのは、土器の底面に、縄を転がして文様を付ける際に使われた「縄」の物理的な痕跡。
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実際の縄(縄文原体)は発見されていないケースが多く、その圧痕だけを頼りに縄の形を復元するレプリカ調査が行われています。
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圧痕はこれまで国内で 3例目。
研究グループはこれを、加曽利貝塚(千葉)での同様の痕跡より古い可能性があるとみています。
🧶 技術の復元とその意義
この発見を受けて、考古・文化財研究の現場では再現実験が始まっています。記者会見資料や学会発表では、圧痕から型を取り、樹脂を使って縄を復元。また、将来的にはその縄文原体を使って、実際に縄で模様付けした土器を再現するプロジェクトも視野に入れられています。
このアプローチは、単なる「痕跡」の確認を超えて、縄文時代の土器製作技術や生活空間、道具の使われ方をよりリアルに理解するための強力な手がかりになります。
🌍 縄文の文様技法をめぐって — ほかの事例との比較
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同じ石岡市の東大橋原遺跡からは、土器底部に敷物や編組(あみくみ)の圧痕が見つかっており、地域特有の編み技術が推定されてきました。
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学際研究では、縄目・網代・編組といった装飾技術を通して、地域間の技術伝播や衣食住のスタイルの違いを探る動きもあるようです。
また、縄文文化全体を俯瞰すると、縄目模様の土器は日本列島ほぼ全域で見られ、縄文時代の土器文化を象徴する技法となっています。

↑原体の復元もあるね~( ・Д・)
(「茨城新聞クロスアイ」の記事内画像より転載)
おわりに



















































