あるけまや -考古学・歴史ニュース-

「考古学」を中心に考古学・歴史に関するニュースをお届け! 世界には様々な発見や不思議があるものです。ちょっとした身の回りのモノにも歴史があり、「らーめん」すらも考古学できるってことを、他の考古学・歴史ニュースと共にお伝えします!(。・ω・)ノ゙

    お金にならない考古学をお金にしよう╭( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ ! 考古学・歴史ニュースの決定版╭( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ !

    面白系

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    2025ねん 10がつ 28にち(かよーび、晴れ)

    ごめん、心死んでた!( ・Д・)

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    ↑ギザギザしてるけどどっから飲むの!?( ・Д・)




    今回の考古学・歴史ニュースはインディジョーンズの映画だとサルの頭が器になってるよね!( ・Д・)ってお話です(*・ω・)ノ



    📰はじめに


    こんにちは、「あるけまや」風の長め、キャッチーな導入をまじえてお届けします。今回は、私たちが通常「死者」「遺骨」「埋葬」と結びつけるものが、なんと「酒杯」や「碗」に“加工”されてきたという驚くべき考古学的発見を追います。

    「祖先の頭蓋骨をコップにしていた!」――一見ホラーめいたこのフレーズですが、実は世界中で、極めて古代から、儀礼・象徴・社会構造の文脈で実践されてきた可能性があるのです。なぜ人は、死者の頭骨を刳り抜き、器にしたのか? その“意味”を、欧州・アジア・先史時代から近代までの多様な事例を手がかりに探っていきましょう。




    🧠 頭蓋骨カップとは何か?考古学が示す人骨器の世界

    考古学的に「頭蓋骨カップ(skull-cup)」とは、頭蓋骨の上部(脳天部、calvaria)を切断・加工して、飲用または盛器として用いたものを指します。たとえば、英国・ Gough’s Cave(ソマセット州)からは、約 14,700 年前の直接年代測定を受けた頭蓋骨カップの例が報告されています。


    また、スペイン南部の洞窟では「飲用器とみられる頭骨加工」が確認され、研究者は「スカルカップは儀礼的・象徴的用途を持っていた可能性が高い」としています。 さらに、アジア・中国の湖成文化(Liangzhu culture)期でも、頭蓋をカップやマスクに加工した明確な事例が報告されました。


    このように、「祖先または人骨を器として用いる文化」は、地域・時代を超えて複数確認されており、単なる“零細な奇習”ではなく、人類史の深層に埋まった象徴行為である可能性が高まっています。





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    ↑これイギリスの事例!( ・Д・)




    🌍 世界各地の事例:英国から中国までの“頭骨器”

    🇬🇧 英国:Gough’s Cave の15,000年前のカップ

    英国ソマセット州のGough’s Caveからは、成人・子どもの頭蓋骨複数が、肉除去・皮剥離・頭頂部の水平切断・縁の整形という加工を受け、明らかに「器として用いるための頭骨」という特徴を有しています。研究者はこの加工を「熟練の後期旧石器時代技術によるもの」と述べています。

    🇪🇸 スペイン:洞窟内の頭蓋器と骨改変

    スペイン・アンダルシアの洞窟(Cueva de los Mármoles)では、頭蓋骨を飲用器に加工したと思われるカップや、長骨を工具に転用した事例が報じられています。改変痕や軟組織除去跡が明確で、「死者の肉体が“素材”として再利用された」という意味深な意図が推測されています。

    🇨🇳 中国:5,000年前の骨加工文化への衝撃

    中国・南部の湖成文化期遺跡(約 3000〜2500 BC)からは、頭骨を杯や仮面として加工した大量の個体が発見され、「死者の骨を雑材的に加工・廃棄」していたと考えられています。この発見は、「頭骨器=単なる戦利品」ではなく、「骨を再加工して社会的・象徴的に機能させていた」可能性を示唆しています。

    これらの事例を比較すると、地域ごとに用途・意味合いは異なれど、「死-生」「個体-共同体」「素材-象徴」という対立軸が共通項として浮かび上がってきます。






    🧬 なぜ、祖先の頭骨をコップに?機能・意味・動機を探る

    このような“頭蓋骨をコップにする”行為には、いくつかの解釈が提示されています。

    • 儀礼的・亡霊・祖先崇拝的機能:例えば、改変された頭骨が共同体の“先祖”に由来し、飲用杯として共有されることで、祖先とのコミュニケーションや血統・継承の象徴となった可能性があります。

    • 戦利・トロフィー機能:頭骨カップは、敵集団の頭を加工したもの、あるいは戦闘勝利・捕虜・犠牲者の身体が処理された証として用いられたというモデルがあり、特にステップ地帯・遊牧民文化で報告されています。

    • 死体資源の実用的再利用:骨の中髄液・骨髄・タンパク質を確保するため、死者人体を分解・加工する過程で副産物として頭蓋骨が器に転用された、という“実用主義的”解釈もあります。特に旧石器時代の事例で骨髄抽出痕跡が確認されています。 

      いずれにせよ、この行為は「死を終わらせる」だけではなく、「死者を別の用途に変換する」「共同体に残す」ための複雑な処理であり、個体と社会・身体と象徴の交錯点に位置しています。





    🔍 先祖と器:人骨器が投げかける文化的問い

    このテーマをめぐって私たちが見落としがちな問いがあります。

    • このような人骨加工の行為は「可哀そう」「怖い」と切って捨てられるべきか。それとも、むしろその社会の価値観や死生観を理解する鍵とすべきか?

    • 発見された頭骨カップを「墓から掘る」「展示する」「研究する」際に、生物倫理・尊厳・研究者責任とどう向き合うべきか?

    • また、先祖の頭蓋を器にするという行為が、現代の「遺骨保護」「人骨遺産」「先住民の死者戻し運動」などとどのように連続性・断絶性を持つのか?

      こうした問いは、ただ過去の“奇習”(あるいは“流儀”)を紹介するだけでは終わりません。むしろ、現代社会における「死者・遺骨・記憶・文化遺産」のあり方を省察する契機ともなります。



    おわりに


    まぁ「頭蓋骨をコップにしてた!」って聞くと驚きますけど、今回紹介したように特定の地域や時期に限定的な風習ではないんですよね。もちろん人類集団に普遍的に見られる風習でもないですけども。

    メキシコの「死者の日」の祭りは特にそうだけれど、頭蓋骨グッズは日常的にお土産として売ってます。その中には灰皿やコップもあります。最近は日本でもハロウィン文化が根付いたようですが、骸骨のモチーフが使われてても違和感ないし、頭蓋骨を模したコップやキャンディーの容器もあるよね。

    もちろん今回の事例はリアルに頭蓋骨を使用しているんだけれど、どれもとても古い時期のものだから、頭蓋骨を模した土器などを作るよりも、「直接本物使った方が早い!」ってだけな気がします( -д-)ノ 日本の事例ではないけれど、人類という広い目線で見れば遠い祖先の話なので、わざわざ外国に行かなくとも長い人類史の一端を垣間見るだけで異文化理解力が高まるんじゃないだろうか。



    何はともあれ、

    カボチャケーキ旨いよね!( ・Д・)







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    2025ねん 10がつ 13にち(げつよーび、晴れ)

    あ~とりあえず3か月耐久頑張るや~!( -д-)ノ

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    今回の考古学・歴史ニュースはかつてモアイは歩いたんだぜ!( ・Д・)ってお話です(*・ω・)ノ



    📰はじめに


    陽炎の向こう、石像が砂の上をゆらりと進む様を想像したことはあるだろうか?島を囲む波濤の音、鳥の鳴き声、そして大地を刻む足音――そんな神話のような現象が、今、科学の語彙で「あり得る」と語られている。イースター島のモアイ像が、実際に“歩いて移動した”という仮説が、最新研究によって大きく支持され始めたのだ。


    この記事では、その研究の背景、具体的な実験・モデル、それが意味すること、反論と可能性の間の駆け引きを、あるけまや風に時空を渡りながらご案内したい。読み終えたとき、あなたは石像が囁く声を、耳にできるかもしれない。





    🏔 モアイ像移動の謎:なぜ“歩く”説が注目されたのか

    長年、学界・民間を問わず、モアイ像の移動方法は謎として語られてきた。重量数トンの石像を、森林資源の乏しい島で、どうやってクレーンも滑車も使わずに建てられたか?かつては「木材スレッドで運んだ」「ローラー方式」「丸太転がし」説などが提起された。


    だが、今回の研究では、モアイ像は起立状態のまま“前傾→横揺れ動作”を用いたロープ牽引で移動可能であると示され、従来説に対して新たな視座を提供している。


    なぜこの説が支持を集めているかというと、次のような要素が整っているからだ。

    • 多くのモアイ像で前傾角が観察されること

    • 像の底部形状(D 字型ベース)が揺動を可能にする形状である可能性

    • 島内の道路形状(幅・凹面構造)がこの移動方式に適応していた可能性



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    ↑本記事の補足動画!( ・Д・)(「Science Daily」の記事内動画より転載; credit: Carl Lipo)



    🧪 実験とシミュレーション:歩行モアイを再現せよ

    仮説だけでは終わらない。研究者たちは現地実験とシミュレーションを組み合わせ、歩行説を実証すべく動いた。

    • 実寸モデル実験
      モアイを模した 4.35トンのレプリカを制作。18名ほどがロープを使い、左右から交互に引きつつ揺動させ、100メートルを 40分で移動させることに成功。

    • 3Dモデリング・物理解析
      1,000体近くのモアイをスキャン・形状解析。前傾率・ベース湾曲性・重心位置などを測定し、揺動時のモーメントや摩擦特性を物理モデルへ落とし込んだ。これらは歩行仮説の整合性を技術的に支えるものとなった。

    • 道路構造との整合性検証
      島のモアイ置設道路は幅 4~5 m、中央がやや低く両端が高めとなる“凹形断面”を持つものが多く、この構造が像を揺すりながら安定して進ませる設計と考えられるという分析もなされた。

    これらを総合して、研究チームは「歩行モアイ仮説:考古学的証拠、実験的妥当性、批判への応答」と題する論文を Journal of Archaeological Science に発表し、反対論や旧説への反論を丁寧に積んでいっている。






    🚶‍♂️ “歩く”モアイ像—その動きと力学の美学

    歩くモアイとは、ただ揺れる石像というだけではない。その動きの背景には、幾何学と力学、そして設計意図が潜む。

    • 前傾角 5〜15° が、揺動時に像の先端が地に接触・離脱を自然に繰り返しやすくする。

    • 湾曲する底辺形状 により、揺動の軸を滑らかに変化させながら“ステップ”動作を誘導。

    • 摩擦と抵抗の最適化:揺動動作は垂直荷重変化を生み出し、摩擦力が変動する中で前進力を確保する設計。

    また、実験中には、牽引者が “一側から引き → 揺らし → 他側から引き” というリズム制御を行っており、非常に協調性とタイミングの精度を要したことが報じられている。


    この動きは、まさに「巨大な人形が1歩ずつ歩むような石像の舞踏」とでも言えるし、そのリズム性にこそ、この仮説のロマンがある。




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    ↑モアイの傾き!( ・Д・)(「ars technica」の記事内動画より転載; credit: Carl Lipo



    🗺 古道と像設置場所から読み解く移動ルート

    研究チームは、モアイ像の故郷である Rano Raraku 採石場から各 ahu(モアイ設置基壇)への経路を、歩行仮説と地形条件、像の破損傾向、道幅・勾配特性と照らし合わせて検討した。

    • 経路選択と密度の減衰
      未完成像・破損像が採石場近傍に多く残る点が、移動失敗や途中放棄を示す証拠になり得るとされる。仮に歩行方式での移動が難しい区間では、像は放置または中断されたと考えられる。

    • 直線 vs 曲線経路論争
      歩行方式では、小刻みにジグザグ進む必要があるため曲線軌道を取る可能性があり、実際、島にはいくつかの曲がりくねる道跡も知られている。

    • 傾斜・坂道区間の考察
      坂を上る・下る場面で揺動方式がどう制御されるかは依然議論の対象。一定の傾斜制限が、最大移動可能像重量を制約するかもしれないという指摘もある。

    これらの分析を統合することで、研究陣は複数の“最適ルート仮説”を提示しており、従来の線型説・ローラー説との対比を明示している。




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    ↑どうやって歩くかの図!( ・Д・)(「ars technica」の記事内画像より転載; credit: Carl Lipo)


    ❓ 懸念・反論と展望:すべてが解決されたわけではない

    歩行モアイ仮説は確かに魅力的だが、学界には慎重な視点も多く存在する。その主な懸念点と今後の展望を見ておこう。

    ⚠️ 反論・懸念点

    • 揺動運動が像底部を損傷するリスク:模型実験では底面剥離・摩耗が観察されたとの報告もある。

    • 大型モアイ(20トン超級)では揺動起動力が十分かどうか疑問視する声。実験体は中型像だったため、スケール拡張性に対する疑義あり。

    • すべてのモアイ像が歩行様式で運ばれたとは限らず、地域や時期で複数方式併用だった可能性。

    🌱 今後の展望・検証ポイント

    • 大型像モデル実験:25トン級以上のレプリカで同方式を試し、挙動限界を探る試み。

    • 摩耗痕・破片分析:実際のモアイ像底面に揺動痕・摩耗・刃跡など揺動証拠を探す。

    • 道筋比較と GIS モデリング:島全体の地形データとモアイ設置地点の空間解析を通じ、歩行仮説ルートの妥当性を空間的に強める方法。

    • 考古口承と民族記憶の参照:ラパヌイの口碑伝承には、モアイが“歩いた”と語る表現もあり、それと物理仮説を対話的に照らす研究。

    歩行モアイ仮説は、石像の静的な重さを動的な芸術技法へ変換したアイデアだ。過去を物理的に解く鍵として、これからの論争・発掘・検証がワクワクを誘う。





    ↓過去記事だよ!ヽ(・ε・)人(・ε・)ノ ナカマ






    おわりに


    なんか何年も前に「モアイを歩かせる実験」やってたと思うんだよね。

    まだ続いてて、内容が繊細になってきてるな~と感動を覚えました!



    金獲るのだけ上手な研究室がふざけた実験考古学に莫大なお金使ってるケースが国内外で多々見られるから、その内の一つかと思って、かつては記事にすらしなかったのかと思う( -д-)ノ


    ちゃんと継続的にやってて、実験だけではなく様々な研究手法を織り交ぜてて、素晴らしいなと思います。

    以前は日本の某大学や、某研究機関と同類分類してごめんね(* ̄∇ ̄*)エヘヘ





    何はともあれ、

    やぱモアイ可愛いな!( ・Д・)



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    2025ねん 9がつ 4にち(もくよーび、雨)

    食あたり起こしてつらい!( -д-)ノ

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    今回の考古学・歴史ニュースは👡 4世紀の遺跡からビーチサンダルのモザイク画を発見 !( ・Д・)ってお話です(*・ω・)ノ



    🧭 発見のあらまし — 泥と瓦礫の下から出てきた“現代的”サンダル

    中央シチリアのVilla Romana del Casale(ピアッツァ・アルメリーナ)で、遺跡保護区と大学の合同フィールドスクール(ARCHLabs 等)の発掘調査中に、浴場(南部バス複合)のフリギダリウム(冷水浴室)床面で、幅の広い一対のサンダルを描いた小さなモザイクが露出しました。研究者たちはこれを4世紀ごろの制作とみなし、タイル(テッセラ)や色遣い、隣接する文様群との様式関係から年代を支持しています。




    🔎 どんなモザイク? — 形は素朴、でも“今と変わらない”デザイン

    発見されたモザイクはプール底の一部に配されており、二つ並んだサンダル(甲を通す細いストラップが真ん中を横切るような形)を対で描いています。色は淡い青〜茶系で、全体的に「フリップフロップ(現代のビーサン)に似ている」と報道で話題になりましたが、考古学的には「ローマ期の浴場でよく見られる履物モチーフ」の系譜に位置づけられます。すなわち、浴場の床にサンダルを描くのは「ここで履物を脱ぎ、洗ってから入浴する場所である」ことを示す視覚的サインの役割を果たした可能性があります。




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    ↑暑そうだねぇ!( ・Д・)(「artnet」の記事内画像より転載)



    🏛 立地と文脈 — Villa Romana del Casale の“浴場群”という舞台

    Villa Romana del Casale は3〜4世紀に繁栄した広大な別荘複合で、世界屈指の現存モザイク群で知られます。今回のモザイクはその南側浴場群に属し、近隣には既に知られた「ビキニの女の子」や狩猟図など名高いモザイクが存在します。浴場の床に履物図を置くことで、入浴前後の所作を暗示したり、浴場を利用する人々(所有者や行き交う客)の習慣を可視化していたと解されます。




    🧩 なぜ話題になったか — 「現代との驚くべき類似性」

    メディアはこの発見を「1600年前の“ビーサン”」というキャッチで取り上げ、SNSや一般紙で広まりました。確かに見た目の類似性は直感的な話題性を持ちますが、学術的には「形の類似」と「同一機能(浴場で履く簡便な履物)」という二重の文脈で読むのが適切です。履物の基本的な機能(足を地面から保護し、濡れた床で滑りにくくする)は時代を超えて共通であり、その表象としてのモザイクは浴場という“場”に非常に合致します。




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    ↑たしかにびーさん!( ・Д・)(「artnet」の記事内画像より転載)



    🧾 同類例と比較 — 古代世界の“履物モチーフ”事情

    世界各地のローマ遺跡や公衆浴場では、床タイルに履物を描いた例が散見されます(アルジェリアのティムガッドなど)。これらはしばしば「洗い流す」「良く洗え(bene lava)」などの注意書きや、脱衣の所作を示す文脈で見られ、機能指標としての役割を担っていました。今回の例は保存状態や色彩が比較的良好で、周辺モザイクとの関連で浴場の利用習慣を再構成する材料として有用です。




    🧰 発掘・保存・公開 — 現場の現実とこれからの道

    発掘は ARCHLabs 等の国際的フィールドスクールとの共同で行われ、学生と研究者が交互に作業しています。発掘後のモザイクのクリーニング、固定、補強、さらにデジタル記録(3Dスキャン)によるアーカイブ化が進められる見込みです。保存作業では、露出しているモザイクが風雨や観光圧に曝されるリスクをどう抑えるかが重要課題となります。今回の発見は保全と同時に教育素材としても価値が高く、研究と地域公開のバランスが問われます。




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    ↑昔のビキニ!( ・Д・)(「Smithonian magazine」の記事内画像より転載)


    🧭 学術的インパクト — 小さな像が示す「社会の所作」

    今回のモザイクは見た目のユーモア性(現代のビーサンに似ている)を超えて、以下の学術的意味を持ちます:

    • 場の指標(performance of space):浴場という公共/半公共空間での所作(脱衣・洗い)が視覚化されている可能性。浴場で何をすべきか、どのように振る舞うかを示す“案内”の役割。

    • デザインの持続性:履物の基本形(底+甲を押さえるストラップ)は機能に基づくため、時代を超えた類似が生じることの示例。文化の「偶然の一致」とは違い、機能が形を定める好例。

    • 保存科学の価値:色彩やテッセラの状態から、当時の技法・使用材の選択やモザイク職人の習熟度を学べる。デジタルアーカイブで遠隔研究も進む。



    🧭 メディア受容と“歴史のポピュラリゼーション”についての短考

    この手の「現代と似ている」発見は、学術的には慎重な読みが必要ですが、一般向けには強烈に刺さります。新聞やSNSが「ビーサン発見!」と取り上げることで、古代史に接する入口が広がる一方、過度にセンセーショナルな切り口で文脈が失われる危険もあります。考古学の現場では、正確な年代づけ、層序と周辺出土の総合的解釈、保存状態の評価をまず優先させながら、一般公開・教育的解説へ繋げることが大切です。




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    ↑ビキニ👙!( ・Д・)(「artnet」の記事内画像より転載)



    🧭 まとめ(長め・深掘り)

    この小さなモザイクが私たちに与えるものは二つです。一つは物語としての「面白さ」、すなわち 1600 年前の床で現代のサンダルにそっくりな図像に出会うという驚きです。もう一つは学術的に重要な「場の証言」です。浴場の床に履物が描かれるその行為は、単なる装飾ではなく「社会的な手つき(social practice)」を可視化する術でした。人がどこでどのように身体を清め、他者とどう交わり、公共的な空間をどう管理していたか――それらは家具や建築だけでなく、床の小さなモチーフにも記録されているのです。


    考古学者にとって、個々のモザイクはタイムカプセルのようなものです。色の残り方、目地の詰め方、テッセラの素材選択からは、材料供給のネットワーク、職人の技術伝達、経済的余裕までが滲み出ます。Villa Romana del Casale のような大規模別荘では、それらが複合して都市と農村、地中海全域との関係性を反映します。今回のサンダル図も、浴場を訪れた人々の移動や消費、身だしなみの常識と結びついているはずです。


    「現代そっくり」の一言で終わらせず、次は次の問いを立ててほしい――このモザイクは誰のために作られたのか。浴場の利用層は地主とその客か、あるいは広く地域の利用者もいたのか。モザイクの色調や技法は地域産資材に依るのか、広域流通品なのか。これらの問いに答えるために、酸化物分析・テッセラの産地推定・文献史料との突合せ・同館内の図像比較が必要です。発掘は始まりにすぎない。保存処理とデジタル記録、そして慎重な公開解説を経て、この小さなサンダルは、浴場文化と日常の身体文化に関する大きな語りを与えてくれるでしょう。


    最後に――遺跡を歩くときは、まず目の前の“面白さ”に手を伸ばし、その後でひとつずつ問いを置いていく。面白さは人を呼び、問いは研究を進める。今回の“ビーサン・モザイク”は、その両方を同時に与えてくれる贈り物です。泥を払い、目を凝らし、記録を残し、想像を働かせる。そうして古代の足跡は、私たちの歩みに静かに応えます。





    何はともあれ、

    やぱビキニ👙がいいな!( ・Д・)



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